ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語である。旅行中に仕事をする、あるいは、リゾート地で仕事をして、その仕事の合間に休暇を楽しむ――これらは、テレワークの一つのスタイルとして旅行会社が推進したり、地方自治体が人を呼び込む一環として活用したりしている。
ただ、取りようによっては、ワークライフバランスを考えると「休暇中でも仕事をしなければならないのか」というな否定的な意見も聞こえてくる。または、単なるテレワークの延長として、リゾート地でのテレワーク、そんな理解のされ方もある。どこで働いてもよい、その中でワーケーションが矮小化されているきらいもある。
ちなみに、ワーケーションには「出張型ワーケーション」もある。先の考えだと、ワーケーションの場所はどこでもよいのだが、出張型は場所が特定される点が特徴だ。出張先に行く意味があり、加えてその場がリゾート地だとしたら、仕事の前後にバケーションが楽しめる、そのような考え方である。また、その場所に行く意味を持たせて、継続的に行くメンバーも変えながら、プロジェクトベースで行う、といったスタイルである。仕事ありきで、かつその場所がリゾート地であった場合に活用したい考えだ。
昨今のワーケーションへの注目度の高まりを背景に、筆者が編集長を務める『月刊総務』では、全国の総務担当者を対象に「ワーケーションに関する調査」を実施した(2021年5月19〜25日にWeb上で実施し、有効回答数は178件)。まずはその実態からみていくことにする。
調査の中でワーケーションを導入しているか尋ねたところ、「導入を検討したことはない」が85.4%という結果となり、いまだ大多数がワーケーションに後ろ向きである実態が明らかになった。実際に導入している企業は、わずか3.5%にとどまった。導入した理由については、「東京でなくても仕事ができる環境になった」「働き方改革の環境整備、促進として」といったものが挙がった。
一方、導入を検討している企業は8.8%。その理由は「フルリモートに切り替えたため、福利厚生の一つとして検討」「IT環境さえあればどこでも業務は可能だから」「地方とのコミュニケーション」といったものが挙がった。やはりコロナ禍、そしてテレワークの浸透を背景に検討を始めた企業は多そうだ。
反対に、「検討したが導入をしなかった」という企業は2.3%。これらの企業は、なぜ導入まで至らなかったのだろうか。
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