2021年2月、バンダイナムコホールディングス(以下、バンナムHD)は、主要事業会社の取締役人事を発表。そこで目を引いたのが、グループの中でもハイターゲット向け商品を手掛けるBANDAI SPIRITS(以下、BSP)の代表取締役社長の交代だった。2代目社長の福田祐介氏に代わって、4月より3代目社長に就任したのが宇田川南欧氏(47歳)だ。
宇田川 南欧(うだがわ なお)
1974年1月生まれ 東京都出身
1994年4月 バンダイ入社
2000年9月 バンダイネットワークス転籍
2009年4月 バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)転籍
2010年4月 同社第2スタジオ 2-4プロダクション ゼネラルマネージャー
2014年4月 同社執行役員 第2事業本部副本部長
2015年4月 バンダイナムコエンターテインメント取締役
2018年4月 同社常務取締役、バンダイ取締役(非常勤)
2021年4月 BANDAI SPIRITS代表取締役社長
宇田川氏は94年にバンダイ入社。00年のバンダイネットワークス設立時に転籍し、黎明期の携帯電話向けコンテンツ事業に従事。09年に統合されたバンダイナムコゲームスへ異動、ソーシャルゲームの時流に乗り、14年に同社執行役員、15年にバンダイナムコエンターテインメント(以下、BNE)初の女性取締役に就任。18年に常務取締役となり、今春からBSP代表取締役社長を務めている。一貫してゲームやネットを活用した事業を手掛けており、時代の後押しもあって業績拡大に貢献してきた。
一方で、プラモデルやフィギュアを中心としたBSPの商品ラインアップからは距離のある人選のようにも感じる。そこで今回は宇田川氏にインタビューを行い、新社長就任の経緯や自身の強み、そして今後のBSPについて伺った。ゲーム・ネットワークの分野で蓄積された経歴を生かし、宇田川氏は今後どのようにBSPを運営していくのだろうか(全2回の2回目)。
――まず、社長就任までの経緯や理由をあらためて教えてください。
大きかったのは、バンダイナムコグループでユニットの再編があったことです。その中で「グループとしてこの先どう事業を展開し成長していくか」を議論する必要があり、それに私もBNE常務として参加していました。グループ全体で何にリソースを集中して、どういうことをやったらいいのかを決める仕事ですね。BSP社長の話があったのは、それらの討議後になります。
――それはいつ頃の話ですか?
社長就任の打診があったのは、20年の11月でした。それまで全く何も言われることはなく、BSPができた当時も「なんか(バンダイ本体から)分かれてるな〜」と思っていたくらいでした(笑)。内示の当日は「決まったから」と伝えられた感じです。社内への周知は社外発表と同じく年明けの2月に行われました。
――それだけいきなりだと、不安や戸惑いはありませんでしたか?
私は基本的に仕事を断ったことがないので、もう「やります」と。もともと異動が多い会社ですし、抵抗感などは特にありませんでした。むしろ大きな仕事を任されてうれしかった。
――社長に就任して、大きく変わったことはありますか?
お会いできる人が増えました。いろんな人と会って多岐にわたる話ができるし、そこで得た関係性で話を大きく進められるのは社長という仕事のいいところだと思います。責任も大きくなりますが、自分で進められる仕事の範囲が広がるのは、キャリアアップのメリットですね。
――ユニット統合の直後に社長就任というのも、メッセージ性の強さを感じます。
そうですね。バンダイとBSPとBNEで大きなユニット統合があって人事異動があって、それを踏まえてのタイミングだったので、社員もこういうことでユニット統合を体現するんだなとみんな感じたのではないでしょうか。本気でユニットを横断した仕事をやっていこうという意思表示になったと思っています。
【人事異動】4月より、田口三昭氏(前バンナムHD CEO)がバンナムHD取締役会長、川口勝氏(BSP初代社長、前バンダイ社長)がバンナムHD代表取締役社長、竹中一博氏(前BSP常務取締役)がバンダイ代表取締役社長、藤原孝史氏(前BSP取締役)がBNE常務取締役へそれぞれ就任している。
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