ドミナント戦略に固執するあまり各地でカニバリが発生し、労働環境が急速にブラック化しているコンビニ、全国2万局を維持するため高齢者詐欺にまで手を染めた郵便局、ノルマ達成のため不正建築に走ったレオパレス21など、例を挙げればキリがない。
人口増にともなってイケイケドンドンで全国に普及した自販機も、まさしくこれらと同じパターンに陥っている可能性が高い。そこに加えて事態が深刻なのは、「衰退」しているのが「数」だけではないことだ。
実は新型コロナウイルスの世界的な流行によって、世界では「自販機ビジネス」が大いににぎわっている。「非接触」という利点から、食品はもちろん生活用品、家電製品、さらにはコロナの検査キットなどの配布に利用するなど、「自販機」のポテンシャルに注目が集まっているのだ。
といっても、これらは日本のいたるところにあふれている、小銭を入れてポチッと押すようなタイプとはちょっと違う。アプリと連動している、いわゆる「スマート自販機」(スマートベンダー)なのだ。
分かりやすいのが、米シカゴを中心に展開されているファーマーズフリッジのスマート自販機だ。この自販機では毎朝調理されたサラダやサンドイッチを提供しているが、注文や決済もすべてアプリ上で行えるようにした。自販機はすべてIoTでつながっているので、何がどれだけ売れるのかがリアルタイムで分かるために、フードロス削減にも役立っているという。
日本でも昨年11月、株式会社KOMPEITOがサラダを購入できる自販機「SALAD STAND(サラダスタンド)」の1号機を、秋葉原のコワーキングスペースに置いたと話題になったが、ファーマーズフリッジは13年からこのような自販機を展開しており、19年時点で既に空港、病院、ドラッグストア、コンビニ、Amazon Go Storeなどの小売店などに250台設置されている。
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