AIとIoT技術を活用した最先端の自家配合プラント構築を目指し、クラウドファンディングで資金を募った。プラントは、従来必要だったオペレーターや配合担当者を不要とし、24時間自動で稼働する。それだけにとどまらず、家畜の体温や体重などの生態情報をカメラで撮影してデータを収集。AIでデータを分析して、最適なエサの配合をフィードバックする仕組みの構築を目指した。AIに興味を持つ人、IT企業などから合計3000万円の資金が集まったという。
一次産業は業界に閉じたイメージが強い。このような取り組みの理由として、吉角さんは「畜産は一般の人からすると馴染みにくい業界です。畜産業が抱えている課題に目を向けてもらいたい。また、社会的な注目を集めることで異業種と連携する機会を生み、畜産を超えた発展的な取り組みにつながることを期待しました」と話す。
エサ配合の効率性を高めるだけではない。コーンテックでは畜産農家に対し、エコフィード(食品残さなどを利用して製造された飼料)を積極使用した、輸入に頼らない畜産サイクルを構築する飼料マネジメントも行う。
農林水産省が20年に発表した調査によると、国内の食品ロス量は年間612万トン、およそ東京ドーム5杯分に及ぶ。パンの耳、焼酎を製造する際に出るカスや菓子など、人間の食べ残しを飼料として家畜に与えることで、海外からのエサの輸入コストを格段に抑えられる。
コーンテックは、「自家配合プラント構築」と「飼料マネジメント」により、持続可能な畜産業の在り方を作り上げている、これは、吉角さんが中古バッテリー販売事業を通して実感した「経済と資源の循環」にもつながる。人の食べ残しなど本来捨てられてしまうモノを再利用し、家畜のエサとして経済活動に組み込んでいく。
現在の導入企業数は約100件で、コストは概算で年間500億円程度下がっているという。
「レガシー業界は年長者が強く、後発が追い付けない仕組みができあがっています。しかし、テクノロジーを活用することで、パフォーマンスが向上し、経験と勘に頼らずに成果を上げていくことができます。私は釣りが趣味なのですが、潮の満ち引きや風の状態が見られるアプリを使っています。テクノロジーを活用するだけで経験者よりも多く釣れます。テクノロジーは後発優位をもたらすのです」(吉角さん)
その言葉通り、コーンテックは安定的な成長を続けている。19年に設立し、現在の年商は1億円。来期は6〜7億円を見込んでいるという。
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