続発する就活セクハラが、企業の命脈を断つかもしれない件本当に大丈夫か(1/3 ページ)

» 2021年07月04日 08時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 就活セクハラは、就活する学生に対し、応募先の企業の社員が働くセクハラ行為です。採用社社員が性的関係を迫ったり、性的いやがらせ・不快言動をする行為です。本来採用企業と学生は対等であるはずですが、現実的には採用される学生は圧倒的に弱い立場です。

 コロナで景気先行きが不透明となり、不安な学生心理を突いてセクハラ行為に及ぶという卑劣な事件が、今年6月に近鉄グループホールディングズ、そして日本製鉄という、日本有数の有名大企業において発生したと報道されています。

 厚生労働省が2020年10月実施した調査では、就活・インターンシップ経験男女学生1千人が対象となり、セクハラ被害の経験があると答えたのは25.5%とのこと。本人申告ベースであり、犯罪かどうかまでの精査はないものの、25%という数字は相当に高いという印象です。

就活セクハラへのホンネ

 就活だけでなく会社におけるセクハラ行為ですが、そんなものは昔からあったという発言も聞こえてきます。ハラスメント対応は私の専門領域で、全国の大企業や官公庁、中小サービス飲食企業など、さまざまな職場でハラスメント防止研修を行っています。そんな研修中のディスカッションで、そうした本音がチラホラ聞こえるのです。

 研修内のディスカッションで本音で話してもらえるのは、むしろ研修としては大歓迎です。それが本音だから認められるものなのか、そうでないのかを考える重要なきっかけになるからです。

 セクハラと一口に言っても、不快言動と性的関係強要ではレベルが違い、後者に至ってはほぼ間違いなく犯罪レベルの悪質な行為です。今年6月に明るみに出たセクハラ事件のように、就活する学生相手に性的関係を強要するのは、きわめて悪質な刑法犯罪です。

 ホンネがどうでも、もはや絶対的にセクハラは認められない時代になっています。このことを社員も経営者も、どこまで真剣に理解しているのか、就活と社員ハラスメント対応両方の現場を知る専門家として、非常に疑問を感じています。

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