2020年におけるアパレル・ファッション業界の「平均年間賞与額」は60.7万円で、前年から2.2万円増――。パーソルキャリアが昨年、自社の転職支援サービス「クリーデンス」に登録した人のデータを元に算出した結果で分かった。
年代別に見ると、20代、30代、50代以上は前年の賞与額から減額した一方、40代のみが7.2万円増額し、全体の賞与額を引き上げる結果となった。
その背景には、コロナ禍におけるハイクラス人材の転職活動が活発化したことがある。従来は未経験者や若手を採用し自社で育成する傾向があったものの、コロナ禍でアパレル業界の業績が悪化。その立て直しを図るため、即戦力となる40代ハイクラス人材のニーズが高まり、給与水準を押し上げる結果となった。
年代別の平均年収では、40代が21万円増、50代以上が42万円増と大幅に上がった。50代以上が、年収増にもかかわらず賞与額は下がった理由について、パーソルキャリアは「コロナ禍により賞与支給がなかった役員クラスの登録者が増えたことが要因」であるとしている。
アパレルの職種別では、9職種中7職種の平均年間賞与額が上昇した。特に、「生産管理・物流」(前年比15.4万円増)、「マーケティング」(同16.2万円増)は、EC市場規模拡大の影響を受け大幅に増額した。また、アパレル業界全体で「SDGs」への取り組みが加速したことから、余剰在庫削減のために生産計画の見直しを担う「生産管理」のニーズが増した。
その一方で、商品開発や販売計画を練る「MD(マーチャンダイザー)」や商品の買い付けを担当する「バイヤー」は、14.1万円の大幅減となっている。コロナ禍で業績が悪化したことから、他職種よりも業績が給与に反映されやすい職種は、コロナ禍のあおりを受ける結果となった。
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