デバイスから得られる情報は局地的、限定的なものが多いため、製造現場や工場では複数の異なるデバイスを設置してさまざまなデータを集めます。前述したウォルマートのSanjay Radhakrishnan氏の意見にあるように、その複数のデバイスから得られるデータをどのように統一し、解析できる形に整理、統合することができるか。それを解決し、仕組み化することこそが、IoTビジネスにおける競争優位性になっているとも言えます。
Sanjay Radhakrishnan氏は、ウォルマートの店舗内にある冷蔵庫に搭載している、IoTセンサーの仕組みについてこのように紹介しています。
「ウォルマートの店内にはたくさんの冷蔵庫がありますよね。実は、これらの冷蔵庫にはセンサーが設置されており、そのセンサーは店舗内のコントローラーと呼ばれるものに接続されています。そして、店舗の担当者はこれらのコントローラーにアクセスすることで、デバイスのテレメトリー信号(利用状況を示す信号)を引き出しています。われわれは、機器から得られる多くの操作機能を一貫した方法で連続的に得ることで、効果的なIoTの運用を行っているのです」
この、店舗内に設置されている「コントローラー」というシステムがあれば、例えばアイスクリームの冷蔵棚などに付いているセンサーから情報を吸い上げ、アイスクリームの品質が低下しないように温度調整を行えるといいます。加えて、冷蔵庫の性能に問題がないかどうかをリアルタイムで監視し、問題が予想される場合には故障する前に修理やメンテナンスを実行。故障したときに生じるダウンタイムなどの機会損失を、最小限に抑えられるとのことです。
また、受信した信号に追加情報が必要な場合は、そのことがクラウドアプリケーションを通じてメンテナンスチームに送信され、チームが問題をトリアージ(優先順位付け)して最適な行動を決定します。例えば、店員に指示を出して追加で調整を行ったり、IT接続の問題を修復したり、作業指示を出して技術者に現場で機器を見てもらったり、リモートで機器に変更を加えたりもできるのです。
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