中国、独身の日に並ぶ「618」商戦 日本企業の口コミ数は「ユニクロ」や「資生堂」が上位 戦略は?約9兆円の取引総額(2/3 ページ)

» 2021年07月16日 06時00分 公開
[臼井杏奈ITmedia]

多数のタレント起用で口コミを喚起

 濱野社長によると、口コミを生むためには、旬や話題の有名人・タレントの活用、期間限定のキャンペーン(プレゼントやキャンペーン商品)、日常的なファンとのエンゲージの強化の3点が重要なポイントだ。1位の「ロレアル(ロレアル パリ)」はこれらを網羅し、口コミ数だけでなくTmallの「618」美容売り上げランキングでも1位を獲得した。

ロレアル 「ロレアル パリ」のウェイボーより。商戦期間にライブコマースに起用されたタレント

 中国ではブランド全体のアンバサダーだけでなく、商品ごと、カテゴリーごと、またはイベント応援大使など複数のタレントを起用する美容ブランドが多く、ロレアルの「618」ではライブコマースにも複数タレントを招待した。また起用したのは日本でも話題になったオーディション番組「創造営2021」から誕生したボーイズグループ・INTO1のメンバー劉宇ら、今人気絶頂のタレントばかり。トレンドExpress調べでは、「618」及び「直播(ライブ)」「ブランド名」が書かれた投稿数でも「ロレアル」が1位だった。

 同様に、日本ブランドより上位に入った中国コスメ「完美日記(Perfect Diary)」も大型芸能人の起用で話題を喚起。さらに濱野社長によると、「商戦前からプライベートな顧客基盤を作り上げてきた結果が顕著に出ている。特に『完美日記』は昨年ニューヨーク市場に上場するなど成長著しく、彼らのWeChatを活用した自社ファンコミュニティーを醸成するマーケティングは、日本メーカーにとって参考になる部分が大きいと思う」という。

 「完美日記」はWeChat(チャットを軸とする中国のスーパーアプリ)のグループトークでファンコミュニティーを形成し、顧客と双方向のメッセージのやりとりを行う。SNSを用いたこのような手法を中国では「私域流量(プライベートトラフィック)」と言い、注目のマーケティング手法となっている。

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