では、その致命的な欠陥とは何かというと、「多様性」を軽視した体制となっていることだ。
東京オリパラ競技大会には、「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」という3つの基本コンセプトがある。企業でいうところの、理念、フィロソフィー、ミッションに近い、「われわれはなぜ五輪をやるのか」といった、そもそもの存在意義にも通じるほど大切なものだ。
この中でも「多様性と調和」が非常に重要であることは言うまでもない。IOCも「インクルージョン(包摂)、ダイバーシティ、平等はIOCのあらゆる活動の核心的な要素であり、差別禁止はオリンピック・ムーブメントの主要な柱です」と声明を出している。
では、オリンピックの「心臓」といってもいいこの「多様性と調和」を組織委員会の中で推進しているのは誰かというと、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進ディレクターの茅和子氏だ。
ヤフージャパンの東京オリンピック・パラリンピックガイドの7月7日の企画記事『【大会組織委員はどんな準備をしている?】東京オリパラ ダイバーシティ&インクルージョン推進ディレクターが目指す、どんな人も楽しめる大会から始まる社会貢献」』によれば、2018年4月に着任した茅氏は、今日にいたるまで「多様性と調和」を目指して尽力をしてきたことがよく分かる。
ワーキンググループを結成し、外部アドバイザーを招いた意見交換などを繰り返し、ダイバーシティ&インクルージョンを成功させたというロンドン五輪の担当者も招いて、徹底的に何をすべきかと考えた結果、『Know Differences, Show Differences. ――ちがいを知り、ちがいを示す』というアクションワードにたどり着いた。また、組織委員会がボロカスに叩かれた例の騒動についても以下のように言及している。
「組織を代表する立場である、森前会長が女性蔑視ととれる発言をし、大きく報道される中でD&Iという言葉を職員みんなが思い出し、その重要性を改めて感じることができたのは事実です」(同上)
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