アニメ制作市場は10年ぶりに縮小 『鬼滅の刃』が爆発的ヒットしたのに、なぜ?増加傾向がストップ(1/3 ページ)

» 2021年08月02日 19時55分 公開
[熊谷ショウコITmedia]

 帝国データバンクの調査によると、2020年(1〜12月期決算)のアニメ制作市場は過去最高を更新した19年(2557億円)を1.8%下回る2510億8100万円だった。11年以降、19年まで9年連続で拡大していた市場の増加傾向はストップした。

アニメ制作市場の推移(出典:帝国データバンク)

 20年の国内アニメ業界は、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が国内興行収入400億円を突破して爆発的なヒットを記録した。京都アニメーション制作の『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』など話題作、『名探偵コナン』など定番シリーズも堅調なヒットをみせ、劇場版アニメの人気を下支えした。

 テレビアニメは、30分アニメで『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』『呪術廻戦』などが人気となったほか、コロナ禍でのアウトドア人気を後押した『ゆるキャン△』などが話題となった。『ウマ娘 プリティーダービー』『BanG Dream!』など、スマホゲームなどと連動した複合メディアミックス型のアニメ制作プロジェクトが広がりをみせており、新たなファン層の獲得や人気の底上げにも結び付いている。

 一方、日本アニメの人気が国際的に高まるなか、海外の動画プラットフォーマーや制作企業と取引を行うケースが増えている。アニメ制作企業300社のうち、外注や制作請負などで海外企業との取引が判明した企業は68社で、全体の2割超を占めた。中国企業との取引が最多で、韓国や米国企業との取引も多い。

海外取引の動向(出典:帝国データバンク)

 近年、米国のネットフリックスや中国のテンセント、ビリビリなど海外の動画プラットフォーマーらが日本国内のアニメ制作企業に対する関心を高めており、独占配信などの直接契約・取引を行うケースが増えている。また資本提供や日本国内での制作スタジオ設立といった動きが加速している。

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