アニメ制作市場は10年ぶりに縮小 『鬼滅の刃』が爆発的ヒットしたのに、なぜ?増加傾向がストップ(3/3 ページ)

» 2021年08月02日 19時55分 公開
[熊谷ショウコITmedia]
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損益面では二極化が進む

 20年の制作企業1社当たり平均売上高は、8億3100万円だった。17年以降、19年まで3年連続で増加していたが、20年は前年から減少に転じ、増加傾向はストップした。売上動向では「増収」が31.6%、「減収」が48.6%となり、減収が増収を大きく上回った。

 損益面では、「赤字」が37.7%で20年業績では最も高い割合で、「増益」(31.1%)、「減益」(29.5%)と続いた。このうち「減収」と「赤字」の割合は、ともに統計開始の00年以降で最も高い。

業界動向(出典:帝国データバンク)

 新型コロナの影響で、期中公開予定の映画・アニメで制作スケジュールの遅延などに見舞われた制作企業が多く、前年に比べて減収となる企業が多く発生した。また、これまで行ってきた人件費や最新設備などへの投資負担、外注量の増大によるコストの上昇が引き続き、多くの制作企業で収益の圧迫要因となっており、減収効果も重なって赤字計上となった企業が多く目立つという。

 自社でコンテンツを有する制作大手や経営体力に余力がある元請では増益が多い一方、下請となる専門スタジオは赤字割合が過去最高となるなど、損益面では二極化が鮮明となった。

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