楽天証券躍進の原動力となっているのが、楽天グループの楽天エコシステムを活用した「フィンテック経済圏」だ。昨今、SBI証券が三井住友カードと組んでカード投信積立サービスを開始し、マネックス証券もアプラスと組んで同様のサービスを開始する予定。しかし、楽天証券は「100%子会社だからこそできる」と、フィンテック経済圏を評する。
「楽天のフィンテック経済圏」をうたう(楽天証券決算資料より)
上期新規口座獲得のうち、楽天グループからの流入は42%を占める。さらに、投資信託の設定数のうち、76%が楽天カードを使ったクレジットカード決済を利用している。
新規口座数以外にも、この効果が現れているのが積立金額だ。6月時点で前年から183.3%増加し、588億9800万円となった。これはSBI証券の432億9100万円を上回る。
つみたてNISAが過半を占め、伸び率も著しい(楽天証券決算資料より)
なかでもつみたてNISAが伸張した。設定件数は前年同期比で104.7%の増加だ。つみたてNISAは30代以下の若年層が63%を占め、資産形成を目的に利用している。また、月間の設定金額は58%が上限に近い3万円超となった。金融庁が公表しているつみたてNISAの稼働状況によると、積み立てが行われている稼働口座において、年間20万円以下が約60%となっている。楽天証券のつみたてNISAが活発に利用されている姿が見える。
つみたてNISAの口座数が増加するだけでなく、設定金額も増加している(楽天証券が7月に行ったセミナー)
また、若年層に人気の高い米国株式も、1〜6月の累計で、約定件数、稼働顧客数、収益がそれぞれ前年から約3倍に増加した。外貨建て資産は前年同期から110.9%増加している。ただし、SBI証券は4〜6月で、売買代金と収益がそれぞれ対前年同期比6倍、5.5倍に増加している。
- 楽天証券600万口座到達 投信積み立ては450億円に
楽天証券の口座数が5月19日に600万口座を超えた。業界トップのSBI証券は3月末時点の口座数が683万(うちネオモバイル証券が80万)となっており、肉薄してきた。500万から600万口座へは5カ月で到達しており、増加ベースが加速している。
- 多角化進むSBI証券 ネット証券は2強時代に
大手5社と呼ばれるネット証券の中で、SBI証券と楽天証券が他を引き離して2強になってきている。2021年3月期の各社の決算を見ると、SBI証券と楽天証券が、預かり資産残高を大きく伸ばした一方で、マネックス、松井、auカブコムの各ネット証券の伸びは小幅だ。
- 楽天証券、21年1-3月の利益は1.4倍に 口座数は572万超
楽天証券は2021年12月期第1四半期(1-3月)の決算を発表した。売上高にあたる営業収益は、前年から37%増加して236億3400万円に、営業利益は45%増の56億3800万円となった。
- 手数料を無料化して証券会社はどうやって利益を出すのか?
ネット証券を中心に、国内で株式売買手数料の無料化の流れが進んでいる。現在も、SBI証券と楽天証券では1日100万円まで手数料はゼロだが、さらにSBI証券と松井証券では25歳以下の完全無料に踏み切った。しかし、売買手数料を無料化して、いったいどこで利益を出すのだろうか? 利用者の中には、「どこかに落とし穴があるのではないか」と不安視する声もある。
- 今なぜ若者がインデックス投資? 流行の陰につみたてNISAとYouTuber
一昔前までは、株式投資といえば上がりそうな銘柄を探してそれを買うというイメージが強かった。しかし今、若者の間でインデックス投資が流行している。ではなぜ、インデックス投資が盛り上がっているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.