#SHIFT

「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由水曜インタビュー劇場(澤円公演)(3/5 ページ)

» 2021年08月04日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

最悪のマネージャー

澤: 僕は「管理職」という言葉を絶対に使いませんでした。そして、チームのメンバーにはこのように言っていました。「管理なんて絶対にしないよ。管理は自動化するよ」と。なぜこうしたセリフを言えたのかというと、マイクロソフトでは管理業務が自動化されていたことが大きかったから。ということもあって、マネジメント職に集中できる環境がありました。

 マネージャーになるとき、ある人はこのように言ってくれました。「ビル・ゲイツの『Chairman's Award』を受賞したことは、絶対に言うな。それを口にすると、メンバーは何も言えなくなるからな」と。僕自身も口に出すつもりはありませんでしたが、その人のアドバイスもあったので、絶対に言わないことを決めました。

 では、マネージャーの仕事とは何か。いろいろな意見があるかと思いますが、個人的には「メンバーが全力疾走できるように、その道を先回りして、片づけておくこと」だと思っているんですよね。全力疾走できるように、マネージャーが準備しておけば、パフォーマンスは向上する可能性が高い。邪魔になる石があればひろって、道が凸凹していれば整備する。こうしたことをやることがマネージャーの仕事ではないでしょうか。

管理職層が困っていること(出典:リクルートマネジメントソリューションズ)

土肥: 一方、最悪のマネージャーは?

澤: メンバーが「さあ、全力疾走しようよ!」と言っているときに、後ろから「ところで、あれどうなったかな?」と声をかけること。そんな声をかけられると、メンバーは立ち止まらざるを得ません。

 例えば、ビジネスの世界で「報連相(ほうれんそう)」という言葉がありますよね。報告をさせるために膨大なレポートを作成させたり、連絡を対面で行うために時間を浪費していたり。よーく、考えてみてください。「報告」と「連絡」は過去から現在までのすでに起きたことについての話ですよね。こうしたことって、ITツールを使えば自動化できるので、どんどん効率化すればいい。

全力疾走しようとしているメンバーの邪魔をしてはいけない(提供:ゲッティイメージズ)

 データは、見れば分かる。にもかかわらず、そのためにわざわざ時間を使って、人を集めて報告することにどんな意味があるのでしょうか。出席者はその会議のために、時間をとられるだけでなく、移動もしなければいけません。コロナ以降、テレワークが広がったこともあって、この考え方に変化が出ているようですが、まだまだ「会議は対面で」という考え方は根強いのではないでしょうか。

 そういったことに時間を割いていれば、メンバーの全力疾走を邪魔していることになる。「あれはどうなっているの?」「オレは聞いてないぞ」といったコミュニケーションが生まれるわけですが、このようなことを言うマネージャーは、即座にその職を降りたほうがいい。経営者はそうしたマネージャーがいることを見つけたら、すぐに降ろしたほうがいい。でなければ、全体のパフォーマンスが上がりません。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.