発売前に現行モデルの5倍! パナの電動工具が売れに売れている理由週末に「へえ」な話(2/4 ページ)

» 2021年08月07日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

小さな商品を開発

 インパクトドライバーの特徴は、パワーがあること。回転と打撃の機能を兼ね備えた電動ドライバーのことで、穴があいているところにネジを締めるだけでなく、穴がないところへのビス留めなどもできるのだ。

 パナソニック ライフソリューションズ社が開発したインパクトドライバーのヘッドサイズは「業界最短」というが、開発する際にどのような苦労があったのだろうか。同社でエグゼナブランドの開発に携わった石神理希さんに聞いたところ、「小さくするにはモーターなども小さくしなければいけません。ヘッドを小さくすれば、そのぶん空間が狭くなってしまうので、どうしても熱がこもってしまうんですよね。結果、不具合が生じてはいけませんので、ヘッドの中を風が流れるような設計にしました」

ヘッドサイズは98ミリに

 ということで、98ミリにするために、従来品と比べて内部のハンマー(回転時に駆動軸に打撃を与える)を50%小型化して、駆動軸を20ミリ短くし、モーターを30%小さくしたそうだ。ただ、部品を小さくして、そのぶんパワーが落ちてしまえば、使い勝手が悪くなるので「モーターを小さくしても、パワーを落とさないように開発することが難しかったですね」と石神さんは振り返る。

狭いところでも作業することができる

 ふむふむ。「小さくしても、パワーを落とさない」というコンセプトはよーく分かったが、そもそも小さくする必要はあるのだろうか。「職人さんからは常に『小さくしてほしい』『小さければ小さいほどいい』といった声があるんですよね。大きければ『運ぶのが大変』『重い』といったこともありますが、狭いスペースでの作業が増えているそうなので、『小さなモノをほしい』と思っている人も増えているのではないでしょうか」(石神さん)

 こうしたニーズがあって、「ヘッドサイズ98ミリ」の商品を投入したわけだが、これからも研究を続けて、さらに小さな電動工具の開発に取り組んでいくそうである。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.