資産運用のロボアドバイザーサービス最大手のウェルスナビは8月13日に、2021年12月期4-6月の決算を発表した。継続的な収益を表すARRは、前年同期から88.7%増加し44億4500万円に増加。これに伴い、売上高にあたる営業収益も85.1%増加の10億5700万円となった。
ウェルスナビは顧客からの預かり資産残高の1%を受け取るビジネスモデルのため、預り資産残高は重要なKPIとなる。こちらは4852億円(6月末)と、前年同期比で95%増加した。7月13日には、5000億円を突破しており、計画を上回るペースで増加が続いている。
好調に見える同社の業績だが、第3四半期にあたる7-9月の状況は不透明だ。同社の柴山和久社長は、「第3四半期の見通しを立てるのが難しい。若い世代の方々がコロナ新規感染者の大きな割合を占めている。若い方々が当社の顧客なので、働く世代が不安を感じているさなかにおいて、長期的な資産運用に意識が向きづらくなっている」と話した。
コロナ禍において、投資環境は好調だ。日経平均は足踏みしているが、ウェルスナビが主に投資する全世界株式は好調に推移しており、米国の株価指数は過去最高を更新し続けている。ロボアド「WealthNavi」のパフォーマンスを見ても、直近3カ月で顧客の資産は大きく増加していることが分かる。
投資環境自体は良好でも、同社が懸念するのはユーザーのマインド面だ。新型コロナ感染は、これまでと違い若い世代で急拡大している。そしてまさにこの世代が、ウェルスナビの主要ユーザー層だからだ。将来のためにお金を投資に向けてきた人たちが、直近の健康不安などでお金の使い方を変えるかもしれない。預かり資産残高の伸びが想定よりも好調なことから業績予想の上方修正も期待されたところだが、「コロナの感染者も急増、お客の投資に対する見方も見通せなくなっている」(廣瀬学CFO)ことから、投資行動の変化を見ながら予想の変更もあり得ると慎重な考えを示した。
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