預貯金中心で資産を守ってきた日本とは違い、米国では確定拠出年金である401kプランなどを通じて、早くから株式への投資が続いてきた。この流れの中、人間に代わりアルゴリズムが資産配分やリバランスなどを行うロボアドバイザー(ロボアド)も、米国で発展を続けている。
米ロボアド市場は、全体で預かり資産残高が1兆ドル(107兆円)を超え、前年比で40%も増加した。この成長の原動力の一つとなっているのが、純粋なアルゴリズムだけではなく、そこに人間のアドバイスを組み合わせるという、ハイブリッド型アドバイザーだ。
国内でもロボアド市場は成長しているが、最大手のWealthNaviでも預かり残高は2500億円、お金のデザインのTHEOは600億円だ。成長のための余白は十分にあるが、道のりも長い。拡大のための課題と方策はどこにあるのだろうか。
「米国で対面型のハイブリッドアドバイザーが盛んだからといって、日本でもそうなるとは限らない。日本でハイブリッド型を始めても、それがすぐに立ち上がるとは思っていない」
WealthNaviを運営するウェルスナビの柴山和久社長は、日本のロボアドの現状をこう話す。背景には、米国と日本で、投資に対する向き合い方の違いがある。
そもそも、米国では老後に向けて、長期・積み立て・分散による投資運用がスタンダードだ。相場の変動のタイミングを捉えたり、上昇する銘柄を探したりといった手法ではなく、中長期的に資産を増やしていく方法が以前から定着していたという。
そんな中で、機関投資家もプライベートバンクも、RIAと呼ばれる独立系の個人向けアドバイザーも、長期的な分散投資の手法を提供してきた。ところが、これらはいずれも対面によるもので、相応の資産規模がないと利用できない。「対面の場合、2000万円程度の資産がないと口座開設すらできない。老後に向けた長期積み立てを、運用資産が多いか少ないかに関係なく提供しようと現れたのが米国のロボアドバイザーだ」(柴山氏)
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