コロナ禍のブームが追い風 20年度の自転車販売市場は過去最高を更新2100億円超(2/2 ページ)

» 2021年08月30日 10時30分 公開
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自転車の高額化も進む

 自転車の高額化も進んでいる。経済産業省の調査によると、20年の完成自転車の出荷数量は、前年を1000台ほど下回る約162万6000台だ。一方で出荷金額ベースでは、前年からおよそ40億円も増加、1台当たりの単価が5年前の3万4000円台に比べ、1万円高い4万7000円台となった。従来の一般的なシティーサイクルに比べ、利便性や趣味性が高い自転車のニーズが急拡大していて、販売台数の多くを高額な自転車が占める。特に電動アシスト自転車は5年前から販売台数が5割伸び、急激な成長が続いている。

自転車1台当たり価格は上昇、電動アシスト自転車は5年前から販売5割増

 こうしたニーズの拡大などにより、大型自転車専門店「サイクルベースあさひ」を展開するあさひの20年度売上高は、前年から16.0%増加の694億円となった。純利益も84.4%増の47億円となり、売上高・純利益いずれも過去最高を更新した。21年度も顧客のライフスタイルに沿った商品展開を進め、売上高では同社初の700億円を目指す。

あさひの2020年度売上高は、前年から16.0%増加の694億円

 自転車部品を扱うシマノ(大阪府堺市)も、20年度の自転車部品売上高は前年比2.7%増となった。世界的なサイクルブームで部品の引き合いが好調だったことが要因だ。21年度も前年同期を大きく上回るペースで推移している。

 帝国データバンクは、「今後もコロナ禍での外出制限、在宅勤務の普及・拡大による運動不足の解消といったニーズが強く残るとみられる。またアウトドアブームの拡大で、クロスバイクなどの需要が増加する他、販売単価が50万円を超える電動スポーツサイクル(e-bike)の普及も、自転車販売店の経営を支えるだろう」と分析。

 その上で、21年度の自転車販売市場について「20年度をさらに上回る2200億円台の到達も想定される」とした。今後の自転車のニーズの高まりが注視される。

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