一方、電子書籍は順調に推移しているようだ。2019年に比べて、28.0%増の3931億円だったという。ただ、2019年も23.9%増だったことを思えば、タイトルの増加や端末の普及を考えると、順当といえば順当だ。全体のなかの電子出版の割合は、2019年の19.9%から24.3%となっており、5人に一人から4人に一人になった感覚か。
電子書籍は、個人的に読むものだろう。まさに巣ごもりには最適のアイテムだ。貸し借りもしなくていいし、何を読んでいるのか人の目を気にする必要もない。
その証拠に、電子コミックが31.9%増の3420億円、電子書籍は14.9%増の401億円にとどまっている。
「honto」の調べによれば、50〜60代による購買が2019年の前年比約117%から2020年は125%と伸びているというから、電子コミックスは、全世代に広まっている。
こうした変化をけん引しているのは、間違いなく大手出版社だ。
講談社は、2019年12月〜2020年11月の売り上げ約1449億円のうち、紙の雑誌と書籍が約635億円で前年比で1.2%減、電子書籍は約532億円で19.4%増加。すでにイーブンのウエートだ。
もちろん、内訳はマンガがメインだと思えるが、ビジネスとしてはいい感じだ。
KADOKAWAは、2021年第4四半期、電子書籍・電子雑誌で、四半期ベースで過去最高の売上高を更新したという。新規事業にも積極的で、映像事業やゲーム事業との相乗効果も出て、順調にビジネスを伸ばしている。
かつて、「出版社はどうなる?」と心配されたものだが、「紙」を中心としたかつての雰囲気はまったくなく、商材そのもののデジタル化、まさにDXが進んだトップクラスの業界とも言えそうだ。
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