ミクシィは9月2日、仮想通貨取引所のビットバンクに約70億円を出資すると発表した。増資引き受けは9月30日を予定している。両社は業務提携を結び、仮想通貨とコンテンツの組み合わせで新事業を創出していく。
ビットバンクはミクシィから70億円、既存株主のセレスから追加で5億円を調達する。これにより持ち株比率は、創業者である社長の廣末紀之氏が31.4%、ミクシィが26.2%、セレスが22.4%となる。ビットバンクは、ミクシィ、セレス2社の持分法適用関連会社となる。
初期のビットバンク出資者にはミクシィ創業者である笠原健治氏がおり、笠原氏と情報交換する中で、「仮想通貨とコンテンツの組み合わせの可能性がミクシィの経営陣の中で話題になった」(廣末氏)ことから、資本業務提携の話に進んだという。
資本調達の理由の1つは財務健全性の強化だ。ビットバンクの資本金は11億円であり、「顧客からの預り資産残高に比べてバランスが悪い」(廣末氏)ことから強化を図った。今回の75億円の資本調達で手元資金は約150億円となる。
また調達した資金を使い、仮想通貨取引所という金融事業以外への展開を進める。注目の1つはNFTだ。2021年に入ってNFTの取引高は世界的に急拡大しており、国内でも複数の企業がNFT事業への参入を発表している。NFTで取り引きされるもののほとんどは、デジタルアートとゲームアイテムとなっており、ゲームを含む多くのコンテンツを保有するミクシィにとって、NFTの可能性は大きい。
「ミクシィはあらゆるコンテンツのIPを持っている。ゲームと暗号資産の組み合わせで新しい市場を創出していく」(廣末氏)
ミクシィにはモンスターストライクなど大ヒットゲームがあるが、既存ゲームにNFTなどを導入するよりも、「暗号資産を活用したゲームを新たに作った方がいいのではないか」(廣末氏)などの議論を進めている。半年以内には、提携の成果を出したいとした。
ビットバンクはこれまで、仮想通貨の現物取引に注力してきており、ビットコインにおいては国内で33.7%の取り引きシェア、ビットコイン以外のアルトコインでは60.4%のシェアを持つ。金融業という立ち位置で事業を行ってきたが、今回の資金調達と提携を機に、非金融領域の仮想通貨事業に歩みを進める。
ミクシィとのゲームに関する取り組みのほか、IEO、ステーキング、カストディ、NFT化、L2(レイヤー2)決済などを新たな取り組みの領域として挙げた。
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