2社の目的はイスラエルでの事業展開でなく、イスラエルの優良テック企業を探し、提携もしくは投資をしていくことです。NTTが前駐日経済公使を起用したのは、イスラエルのスタートアップ、ベンチャーキャピタル、在イスラエルグローバル企業などとの関係を強化するためです。
他方、ソフトバンクがモサドの元長官を起用したのは、国の最高情報機関での経験や、イスラエル政府、企業などとの幅広い人脈を期待したものです。同社は投資ファンドであるソフトバンク・ビジョン・ファンドを通じ、イスラエルのハイテク企業へ投資するため、同国にオフィスを開設したといわれています。
これらの背景にあるのは、グローバルカンパニーがR&D拠点(技術開発センター)をイスラエルに移してきたという実績です。グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト、IBM、GE、インテル、シーメンス、HP、モトローラなどが、すでにR&Dを設置しています。
イスラエルにR&Dを設置する理由の一つは、天才肌が多いだけでなく、現地社員一人一人がアントレプレーナーシップ(企業家精神)を持っているからです。発想力、行動力、チャレンジ精神、柔軟性、忍耐力、責任感、スピード感などを持って、ゴールを達成する人が多いのです。そうしたイスラエル人を大手が雇用し、研究開発を加速させ、成功をつかんでいるように見えます。
NTTとソフトバンクは、年間1400社も生まれてくるスタートアップ企業の中から、イノベーションをもたらす、優良テック企業に投資もしくは提携しようとしています。これらの企業は、世界でも日本でもまだ知られていないテクノロジーを扱っているので、ビジネスを展開していくことで、市場で有利な立場に立てるわけです。
今後はイスラエル生まれのものを含む、世界のテクノロジーを日本企業が利用することが今よりも多くなると予想されます。経営者はスピード感、エンジニアの方々は海外とのコミュニケーション、新規事業開発部や人材開発部は企業家精神を、スキルの一つとして取り入れていくことが、日本企業でも必要になると思います。
ベアーレ・コンサルティング株式会社 代表取締役社長(CEO)。
イタリア・オリベッティ社に入社し、英国ケンブリッジ大学との共同最先端技術の部隊「マルチメディアタスクホース」に選ばれ、NTT、日本IBMなど最先端技術販売に成功し、社長賞、トップセールスなど多数受賞。その後、日本初上陸最先端テクノロジーに魅かれ、米国DirecTV技術を利用した通信衛星インターネットサービス会社の立ち上げに設立から従事し、ソニーミュージック、ソフトバンク(当時、日本テレコム)、日立電線などから3億5000万円の出資を受け新会社ダイレクトインターネット社設立に成功。
日本をはじめ、香港、マレーシア、インドネシア、シンガポール、オーストラリアなどグローバルビジネスデベロップメントも経験。
最先端テクノロジーを誰でも、いつでも、どこでも利用できるような、豊かな未来創りに少しでも役立っていきたい、もっとスピード感のある日本社会、そして幸せな生活プラットフォーム作りを支援し、提供していくために、1996年ベアーレ・コンサルティング株式会社を設立。
イスラエルビジネスのパイオニアとして、2001年からイスラエルハイテクスタートアップ企業への支援事業をスタート、現在も支援事業を拡大中。
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