やっぱりステーキの特筆すべき点は、車で行く郊外店と家賃の高い都心部の両方で結果を出していることだ。
コロナ禍でも順調な理由としては、昨年6月東京都武蔵野市に出店した、吉祥寺店の成功が大きい。家賃も人件費も高い東京で、果たして地方発の低価格ステーキが成り立つのか、疑問視する向きもあったが、その不安を払拭した。やっぱりステーキのメディアへの露出も急増し、知名度が格段にアップ。FCの問い合わせも急増した。
吉祥寺店は、JRと京王井の頭線の吉祥寺駅南口から歩いて3〜4分ほどと駅に近い路面店だ。しかし、井の頭恩賜公園へ続くメインストリートから外れ、商業地から住宅街に入りかけた人通りの少ない場所にある。周囲にはこだわりのある個人店が多く、チェーン店が出店する立地ではない。地理に不案内な観光客がたまたま発見して行くような場所ではないのだ。
つまり、顧客がわざわざ選んで行く店として成り立っている。犬などペットを連れて食事ができるテラス席もあり、おしゃれ感を醸し出す店づくりも奏功した。席数は35席。
同社広報によると、「吉祥寺店は午後8時までの時短営業となっている今でも、10回転ほどしている」とのことで、時間帯によっては行列もできる。1組あたりの滞在時間が30分程度と短く、食事主体でお酒に頼る業態でもないので、日常的にステーキが楽しめるステーキ食堂として成立している。
吉祥寺は東京都23区に隣接するターミナルで、たびたび各種調査で「住みたい街」の上位に食い込む。来街者は地元住民、学生、ビジネスパーソン、観光客が混在するが、1000円ステーキという分かりやすいコンセプトで、同店が幅広い顧客層にアピールできたのも良かった点だ。
19年3月に隣のJR三鷹駅北口駅前に出店して、連日行列ができるほどの大反響を呼んでいたステーキ屋松が、同年11月に吉祥寺に出店。こちらは吉祥寺駅の北側の東急百貨店裏に店舗があるが、同じサラダバー付きの1000円ステーキで両者はどう違うのか。地元住民にとって、やっぱりステーキの進出に興味津々だった背景もプラスに作用した。
やっぱりステーキはライス食べ放題が1000円のセット料金の中に含まれていて、よりコストパフォーマンスが良かった。
ステーキ屋松はよくまとまっているが、オーソドックスなステーキハウスの外観。一方、やっぱりステーキはテラス席があって開放感があり、換気が良いオープンエアをアピール。コロナ禍でも安心して入れる店であると認識され、高い集客力につながった。
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