コンビニ弁当の価格帯が広がり、三極化している。これまでのボリュームゾーンである500円前後に加えて、200〜300円台という安価なミニサイズ弁当の販売が伸びている。また、600円に近いボリューミーまたは高級感あるやや高額な弁当も増えている。
背景には、コロナ禍でコンビニ利用者が多様化している実態がある。従来の主たる顧客は、30〜40代のビジネスマンや、トラックやタクシーなどの車を使って仕事をする人だった。
しかし、昨春の緊急事態以降は、消費者が遠出を控えてなるべく家の近くで買い物をするようになり、女性、シニア・シルバーにも顧客層が広がってきた。そうなると、弁当に量は要らない人、サラダや総菜と一緒に買いたい人も増えてくる。そうしたニーズに応えて各社が発売しているのが、低価格のミニサイズ弁当だ。
セブン-イレブン・ジャパンの「一膳ごはん」シリーズ、ファミリーマートの「ファミマトクトク弁当」シリーズ、ローソンの「ちょい」シリーズなどがそれに該当する。
これらの商品は、サラダや総菜などとセットで買うことが前提とされていて、安価ではあってもむしろ顧客単価の押し上げ効果を持つはずだ。大手4社の今年6〜8月における既存店客単価は、いずれも3カ月連続で前年を上回っている(当然、弁当以外の要因もある)。
一方、感染リスクを考慮して消費者が外食を避けている。また、外食をしたくても緊急事態やまん防(まん延防止等重点措置)の影響で、お店が午後8〜9時に閉まる状態が続いている。そのため、500〜600円くらいの価格帯で、外食難民を救済する本格的な“がっつり弁当”が売れている。現状、コンビニの弁当には“600円の壁”があるようで、600円を超えたものはほとんど見かけない。
ローソンの「これが弁当」シリーズ、ミニストップの「ずっしり極!」シリーズなどがこの路線に入るものだ。
ユニークなのは、ミニストップが発売した「駅弁風弁当」シリーズだ。量は少な目となっており、旅行に行きたくても今は控えている人に向けた商品だ。今年1月から毎月1〜2品ずつ販売しており、好評なので定番化しつつある。購入するのは中高年が中心で、「ハロハロ」のような若者向け店内調理スイーツのイメージが強かったミニストップの顧客層に、変化をもたらしている。
コンビニで三極化する弁当に関する取り組みを、コロナ禍で新しく開拓された低価格ゾーンと高価格ゾーンにスポットを当ててまとめてみた。
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