「40施設を売却」と報じられたプリンスホテルは“崖っぷち”なのか 現執行役員が語った生き残り策とは瀧澤信秋「ホテルの深層」(3/4 ページ)

» 2021年10月08日 06時00分 公開
[瀧澤信秋ITmedia]

外資そしてプリンスホテル

 ホテルとグローバルスタンダードといえば、近年進出著しい外資系ホテルを想起する。プリンスホテルにとって外資系ホテルはどう映るのだろうか。近年は、ミレニアル世代への訴求という点でも外資系ホテルは、デザイン性やサービスなどで先手を打っている印象があり、新たなプロダクトを次々と出してきている。

 その点だけで見てもプリンスホテルはまだまだ発展途上だ。最近の「東京ベイ潮見プリンスホテル」や「品川プリンスホテル アネックスタワー」の改装などは注目されるもののやはりアピール不足も否めない。

プリンスホテル 東京ベイ潮見プリンスホテル(筆者撮影)

 一方、プリンスホテルとしては、外資に対抗するというよりは“外資にないものを”どう伸ばしてくのかという点を重視しているという。

 ラグジュアリーなハード、コンテンポラリーなイメージなど、まねをしてみたところでそもそもホテルは西洋のもの、われわれが頑張っても欧米のものにはならないというのはある種理解できる考えだ。

 「きめ細やかさやあたたかさというような伝統的に培ってきたものによりこだわった方が良いし、それに対してグッとくる客層が厳として存在する」と、プリンスホテルの関係者は語る。プリンスホテルを利用したゲストの声で「日本のホテルならでは」という感想を時々見るが、プリンスホテルにとってそれは最上の褒め言葉だともいう。

 武井氏は、そうした客層について「実は海外のお客さまに多くいるのでは?」と感じているといい、「日本初のホテルブランドとしてしっかりマーケティングしていくことを今後ますます強化していかなくてはならない」とする。

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