“ホテルの深層”に迫る本連載では前回、人気ビジネスホテルとして知られる「ドーミーイン」にフォーカスし、そのアイデンティティーともいえる“大浴場”について深掘りした。今回はその後編となるが、正直なところをいえば、前回の執筆に際して大浴場の部分だけで予定していた原稿量をオーバーしてしまったことによる後編である。
今回は、大浴場の続きとしてコアなファンにも注目されているサウナについて、また客室の特色や「夜鳴きそば」をはじめとする独自サービスについても取り上げたい。
前回も少し触れたが、ドーミーインの運営会社についておさらいしておく。運営は共立メンテナンス。1979年に設立し、企業の給食受託業務から事業をスタートした。その後、学生寮や社員寮を運営する寮事業を、さらに、ビジネスホテル・リゾートホテルを運営するホテル事業へと領域の拡大を図ってきた企業である。最近では高齢者向け住宅を提供するシニアライフ事業や自治体と連携して公共サービスを支援する事業も展開。幅広いフィールドで住環境やサービスを提供している。
とはいえ、同業他社と同じくコロナ禍によりホテル事業は苦戦を強いられてきた。共立メンテナンスの2021年3月期決算によると、売上高は1212億円で前期比28.6%減、営業損益は90億円の赤字(同112億円の黒字)、経常損益91億円の赤字(同124億円の黒字)、純損益121億円の赤字(同69億円の黒字)というものだった。
寮事業では黒字を確保したが、やはり宿泊事業が大変な状況だったことはホテル業界全体から見ても想像に難くない。そのような中で消極的な運営へシフトするホテルチェーンも見られるが、ドーミーインはブランドアイコンともいえる温浴施設のさらなる強化をはじめとして、実に多くのトライが見られる。
共立メンテナンスではドーミーインのほかにリゾートホテル事業も展開している。リゾートホテルの「ラビスタ」シリーズ、ペットとの滞在を楽しむ「ルシアン」、個性豊かな「和の湯宿」といったブランドがあり、ドーミーインの軒数には及ばないものの、共立リゾートとして全国36カ所に展開している。
ドーミーイン=大浴場というイメージは、共立メンテナンス=大浴場で利用者に認識されており、共立リゾートの各店舗でも大浴場のクオリティーは概して高い。そうしたドーミーインの大浴場で共通する特徴として挙げられるものに「サウナ」がある。至極個人的な話で恐縮であるが、筆者としても“生活に必須”な設備であり、特に掘り下げたいところだ。
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