コラム
» 2021年10月19日 07時00分 公開

早めに把握しておきたい「インボイス制度」のあらましと実務交付条件と登録スケジュール

消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が2023年10月1日より導入されます。そこで、この制度にまつわる実務を理解しておきましょう。

[企業実務]

 消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が2023年10月1日より導入されます。そこで、この制度にまつわる実務を理解しておきましょう。

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 本記事は、2021年9月号に掲載された連載「早めに把握しておきたい『インボイス制度』のあらましと実務」から「インボイス制度の交付条件と登録スケジュール」を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集し、転載したものです。


【1】インボイス制度の概要

 消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が2023年10月1日より導入されます。

 適格請求書(インボイス)とは、売手が買手に対し、正確な適用税率や消費税額等を伝達する手段であり、一定の事項が記載された請求書や納品書およびこれらに類する書類のことをいいます。インボイス制度の導入後は適格請求書発行事業者(【2】参照)から交付を受けた適格請求書等の保存が仕入税額控除の要件となり、原則として免税事業者や消費者からの課税仕入れは、仕入税額控除の対象となりません。

【2】適格請求書を交付するための条件

 適格請求書を交付するためには、税務署長に対し一定の事項を記載した登録申請書を提出し、登録を受けなければなりません。

 適格請求書を交付することができる事業者として登録を受けた事業者を適格請求書発行事業者といいます。

 登録を受けた事業者には書面で通知されるとともに、その事業者の(1)氏名または名称および登録番号、(2)登録年月日、(3)法人の場合は本店または主たる事務所の所在地、などの事項がインターネットを通じて速やかに公表されます。

 適格請求書等であると誤認されるおそれのある書類等を適格請求書発行事業者でない者が作成し交付した場合や、虚偽の記載をした適格請求書等を適格請求書発行事業者が交付した場合には、罰則があります。なお、登録の効力は、通知の日にかかわらず、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日に発生します。

 適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、消費税の課税事業者であることが前提となっており、消費税の申告・納税義務のない免税事業者のままでは登録を受けることはできません。従って、免税事業者は課税事業者になってから登録を受けることとなります(【4】参照)。

【3】2023年10月1日登録のためのスケジュール

 適格請求書発行事業者の登録申請の受付は、ことし10月1日から開始されます。課税事業者はいつでも登録を受けることができますが、適格請求書等保存方式が導入される2023年10月1日に登録を受けるには、課税事業者も免税事業者も、原則として2023年3月31日までに登録申請書を提出する必要があります。ただし、その日までに登録申請書を提出できなかったことにつき困難な事情がある場合には、2023年9月30日までに一定の手続きを行うことで、2023年10月1日に登録を受けたことと見なされます。

【4】免税事業者が課税事業者を選択して登録する場合

 免税事業者が「課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者となって適格請求書発行事業者の登録を受ける場合の留意点は、次の通りです。

(1)登録日が2023年10月1日の属する課税期間中の場合

 2023年10月1日の属する課税期間中に登録を受ける場合には、登録日から課税事業者となる経過措置があります。この場合、課税事業者選択届出書の提出は必要ありません(課税期間は原則として個人事業者は暦年、法人は事業年度です)。

 例えば、個人事業者等のように課税期間が2023年1月1日から同年12月31日である免税事業者が2023年10月1日に登録を受ける場合には、2023年1月1日から9月30日までの期間は免税事業者ですが、2023年10月1日から12月31日までの期間は適格請求書発行事業者となりますので、消費税の課税事業者となり、申告および納税義務が発生します(図表1)。

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(2)登録日が2023年10月1日の属する課税期間の翌課税期間以後の場合

 2023年10月1日の属する課税期間の翌課税期間以後に登録を受ける場合には、課税事業者選択届出書および登録申請書を提出する必要があります。

 課税事業者となる課税期間の初日から登録を受ける場合には、その課税期間の初日の前日から起算して1カ月前の日までに登録申請書を提出しなければなりません。

 免税事業者である個人事業者が2024年1月1日から課税事業者となることを選択し、同日に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、課税事業者選択届出書を提出し、登録申請書を2023年11月30日までに提出することが必要です(図表2)。

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【5】新たに事業を開始した場合の登録

 新たに事業を開始した個人または免税事業者である法人が、事業を開始した日の属する課税期間等の初日から適格請求書発行事業者として登録を受けるためには、その事業を開始した課税期間の末日までに、課税事業者選択届出書と登録申請書を併せて提出することが必要です。

【6】適格請求書発行事業者の取りやめと失効

 適格請求書発行事業者が、「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」(「登録取消届出書」)を税務署長に提出した場合には、適格請求書発行事業者の登録は効力を失います。

(1)課税期間の末日から起算して30日前の日の前日までに登録取消届出書を提出した場合

 その提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日に適格請求書発行事業者の登録が失効します。

 例えば、適格請求書発行事業者である個人事業者が、2024年11月30日に登録取消届出書を提出した場合、2025年1月1日に適格請求書発行事業者の登録が失効します。

(2)課税期間の末日から起算して30日前の日からその課税期間の末日までの間に提出した場合

 その提出があった日の属する課税期間の翌々課税期間の初日に適格請求書発行事業者の登録が失効します。

 例えば、適格請求書発行事業者である個人事業者が、2024年12月2日に登録取消届出書を提出した場合、2026年1月1日に適格請求書発行事業者の登録が失効します。

著者紹介:山口 拓(やまぐち・たく)

山口拓税理士事務所/税理士

中小企業の消費税の専門税理士。毎月の巡回監査により当期の決算額を予測し、これに基づく経営助言と赤字でも納税が必要な消費税等の納税額試算など、顧問先の将来を見据えたサービス提供を行っている。

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