コラム
» 2021年10月27日 05時00分 公開

“反ワクチン”600人解雇の波紋 「違い」を「分断」にしないためには単純な図式化の危険性(3/4 ページ)

[川上敬太郎,ITmedia]

 世の中のワクチン接種が進み、今や少数派となった未接種者側にもさまざまな事情があります。「ワクチン未接種者=悪」と単純に図式化してしまうのは誤りです。考えられるワクチン未接種者側の事情として、大きく分けて3点を挙げます。

(1)体質的にワクチン接種できない

 ワクチンの成分に対してアナフィラキシーの既往歴があるなど、医師の判断により接種を止められている人もいると考えられます。

(2)ワクチン接種によるリスク懸念

 ワクチン接種による副反応の影響や、開発されて日が浅いワクチンだけに長い年月を経てから害が分かる可能性があることなどのリスクを懸念する人もいると考えられます。

(3)思想信条による拒否

 宗教上の理由などにより、ワクチン接種を拒否する人もいると考えられます。

 上記(1)〜(3)は、それぞれの項目の中でも程度や考え方に差があると思います。また、中にはデマ情報に感化されてしまっている人もいるかもしれません。相いれないスタンスの人から見ると、「考えすぎ」「こだわりすぎ」「ワガママ」などと感じてしまうケースもあるように思います。

 しかし、ワクチン接種の有効性やリスクにはさまざまな見方があります。明らかなデマを信じ込んでしまっているような人については認識を正してもらう必要がありますが、ワクチンの効果については未確定な部分も多いのが現状です。国や会社が悩みながらそれぞれの判断をしているのと同じく、個人も各人各様に判断するため、どうしてもスタンスの“違い”は生まれてしまいます。

 その状況下で大半の人がワクチンを接種する選択をした一方、接種しない選択をした人もいるということです。それらは個々の判断の“違い”にすぎず、決して「ワクチン接種者=正義/ワクチン未接種者=悪」と決めつけられるものではありません。接種・未接種、いずれの判断も尊重される必要があります。

 その点、冒頭で紹介したバイデン米大統領の「自由や個人の選択の問題ではない」という発言は、国としてのスタンスは明確にはなるものの、現時点においてはワクチンの効果に不確かな面があることを踏まえると、行き過ぎた表現のようにも感じます。しかし、その是非は別として、方針を示さなければならない立場である米国大統領としての悩ましい判断として尊重されるべきなのだとも考えられます。

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