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なぜ、7割超の日本企業は「五輪・緊急事態」でもテレワークできなかったのか元凶は「IT」ではない(1/5 ページ)

» 2021年08月25日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 四度目の緊急事態宣言が出され、繰り返し使われる「正念場」という言葉がむなしく響く状況の中、日本経済新聞は「テレワーク率、五輪・宣言下でも3割届かず」と題した記事を報じました。

 政府が何度も在宅勤務を含む「テレワーク推進」を訴えかけても、その実施率は伸び悩んでいるようです。記事で紹介されているパーソル総合研究所のデータによると、実施率は27.5%。2020年4月の27.9%からやや減少し、ほぼ横ばいという状況です。

 とはいえ、テレワークの実施率に限界があるのも事実です。例えば「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる職種などでは、ロボットのようなテクノロジーが飛躍的に進化でもしない限り、テレワークは難しいでしょう。また、全ての働き手がテレワークを望んでいるわけでもありません。

 しかし、厚生労働省の「テレワーク総合ポータルサイト」によると米国のテレワーク導入率は85%に及びます。加えて、米国のデータは15年時点のものですから、新型コロナウイルスのまん延により、さらにテレワーク率は高まっているとも考えられます(英国・ドイツ・フランスは10年時点のデータ)。

出所:厚生労働省「テレワーク総合ポータルサイト

 だからといって、日本も同じくらいテレワークできて当然、とまではいえませんが、3割に満たないテレワーク実施率は、決して日本における限界値ではないのだと思います。

 そもそも、政府がテレワーク推進を訴えているにもかかわらず、なぜ導入が進まないのでしょうか。このまま横ばいが続くようでは、多くの働き手が「テレワークしやすくなると思っていたのに……」と、諦めの境地の中で通勤を続けることになります。

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