#SHIFT

なぜ、7割超の日本企業は「五輪・緊急事態」でもテレワークできなかったのか元凶は「IT」ではない(3/5 ページ)

» 2021年08月25日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 通勤とテレワークとの根本的な違いは、マネジメント側と働き手側が同じ場所で仕事しているか、違う場所で仕事しているかです。この根本的な違いを無視して、旧来のマネジメントスタイルを変えずに通そうとしても無理があります。テレワークで成果が出せるようにするには、業務設計から見直してマネジメントスタイルを根底から転換させる“ゲームチェンジ”が必須なのです。

通勤スタイルは「他律的」な働き方

 通勤スタイルの場合、互いが同じ場所にいるため、マネジメント側は日々のコミュニケーションの中で確認したいことをいつでも確認できます。必ずしも、働き手がいつまでに何をしなければならないか、明確に把握できていなかったとしても、マネジメント側がその都度状況を見ながら働き手に業務を割り振ったり、進捗(しんちょく)を確認したり小まめに指示を出しながら業務を回していけます。

画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 しかし、それは働き手から見ると「他律的」であり、日々自分が取り組むべき仕事を能動的に判断しづらくなります。都度マネジメント側にお伺いを立てながら仕事を進めることになるため、必然的に指示待ち傾向が強くなります。

 一方、テレワークスタイルの場合、マネジメント側と働き手側の就業場所が離れているので、確認したいことがあってもテレビ電話やメール、チャットなどの通信ツールを使うことになります。そのこと自体も手間ですが、互いにコミュニケーションを取ろうと思っても通信ツールで確認できる範囲でしか情報を把握することができません。そうなると、マネジメント側が都度状況を見て、小まめに指示を出しながら業務を回していく他律的な働き方が機能しにくくなります。

 つまり、テレワークスタイルの場合、日々マネジメント側から指示を受けるのではなく、働き手が自律的に仕事に取り組めるような業務設計が必要だということです。他律的な働き方から自律的な働き方へと転換させること。それこそがテレワーク推進に必要なゲームチェンジなのです。

 では、働き手が自律的に仕事に取り組めるようにするにはどうすればよいのでしょうか。その手法の一つに、「タスク」単位の業務マネジメントがあります。テレワークがうまく機能している企業の多くは、職種を構成する要素を分解して、タスク単位でマネジメントしています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.