選挙カーで、大量のCO2を排出する“大罪” なぜ日本で「選挙DX」は進まないのか2050年のカーボンニュートラルはただの「お題目」(2/5 ページ)

» 2021年11月11日 08時30分 公開
[柿崎 充ITmedia]

「選挙DX」とは?

 そもそも「選挙DX」とは何か。大きく2つあると考える。

  • 投票方法のDX:インターネット投票の実現(いわゆるネット”投票”)
  • 選挙活動のDX:アナログな選挙活動のオンライン化(いわゆるネット”選挙”)

 選挙DXのゴールの一つにネット投票の実現が挙げられるだろう。グローバルでは、ネット投票を導入する国や地方が出てきており、特にエストニアが有名である。05年の地方議会選挙からネット投票が可能になり、07年に世界で初めて国政選挙で利用された。

選挙DXの実現には「ネット投票」が欠かせないだろう

 日本でも、ネット投票の広がりが期待できる動きがある。『総務省が2020年2月5日、海外に住む日本人がインターネットで投票できるようにするための実証実験を東京都世田谷区で実施した』と日本経済新聞が報じた。

 また、日本において『コロナ禍の出口が見えない状況は変わらず、自宅にいながら選挙権を行使できるインターネット投票を実現しようとの機運が高まっている。政府の意見公募サイトでは最も人気を集め、野党は先の通常国会に、2025年の参院選から導入するための関連法案を提出した。不正投票への懸念などから政府・与党内には慎重論が根強いものの、推進を求める声も出始めている』(東京新聞9月5日)という国民の意見も見られた。

 国政選挙でネット投票が導入されたのはエストニアだけだ。第三党だった改革党が、ネット投票を開始した07年以降は第一党になっている。当時、第三党に投票した人の60%がネット投票利用者だったことから、ネット投票により傾向が変わったと考えられている。これを見ると、テクノロジー的に導入可能な状況ではあるものの、現在の政権が選挙結果に影響を及ぼすネット投票に踏み切るのは難しいように思われる。

 もう一つの選挙DXは、アナログな選挙活動のオンライン化である「ネット選挙」だ。日本では13年4月、公職選挙法改正案が成立し、インターネットを使った選挙活動が解禁された。Webサイトと電子メールの利用やSNSでの投稿に加え、政党が有料バナー広告をWebサイトに掲載することも可能になった。

ネット選挙により、電子メールの利用やSNSでの投稿も可能に

 では、実際に海外ではどのようなネット選挙が広がっているのだろうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.