サントリーの「ほろよい」はなぜ91種類もあるのか 商品開発のキモは2つ週末に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2021年11月14日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「冷やしパイン」が売れている

 ところで、91種類の中で、最も売れたフレーバーは何か。10年に発売した「白いサワー」である。ブランドを代表する存在で、スーパーやコンビニの棚を見ても、だいたい並んでいる。

 では、期間限定のフレーバーはどうか。14年から毎年夏に販売している「冷やしパイン」がよく売れているそうだ。ふーむ。個人的にパイナップルは好きだが、どうもしっくりこない。夏に販売するのであれば「もも」ではダメなのだろうか。夏のフルーツ調査で、好きな果物を聞いたところ、やはり「もも」がトップ。ちなみに、「パイナップル」は6位である(第一紙行調べ)。「もも」は定番商品として販売しているので、そこは納得できるが、なぜパイナップルなのだろうか。

夏限定の「冷やしパイン」が売れている

 ブランド担当の三枝遼太郎さんに聞いたところ「『ほろよい』の商品開発にあたって、2つの基準があります。1つは『間口の広さ』、もう1つは『ワクワクするかどうか』です。この2つを満たしている商品は、売れる傾向があるんですよね」という答えが返ってきた。どういうことか。

冷やしパイン歴代デザイン

 1つめの「間口の広さ」は、たくさんの人にそのフレーバーからうれしさを感じ取ってもらえるかどうかがポイントになるという。多くの人にその商品を手にとってもらいたいので、その気持ちはよーく分かる。ただ、「間口の広さ」を深追いすると、「じゃあ、レモンでいいでしょ」「ライムもよいよ」といった話になる。新しいフレーバーを出しても、「どこかで飲んだことがあるなあ」と目新しさに欠け、普通の味ばかりになってしまう。

 もう1つの「ワクワク」を深追いすると、奇をてらった商品になる危険性がある。発売当初は物珍しさもあって売れるものの、しばらくすると人気が低迷する。飲んだ人からは「まあ、味は悪くないけど、二回目はないかな」といった答えが返ってくることも。つまり、リピーターを獲得できないまま、フェードアウトしてしまうのだ。

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