子々孫々(ししそんそん)にわたって鉄道路線と沿線を利用してほしい、地域に定着してほしい、という考えが、これらの鉄道グループでは分かりやすく示されている。とくに小田急の「小児IC運賃一律50円」は、その戦略を取る鉄道各社の中では圧倒的な存在感を感じさせるものであった。ほかの東京圏西南部方面の鉄道会社が追随するかが気になるところだ。
こういった取り組みを積み重ねることで、沿線への愛情、「愛線心」とも呼べるものが育まれるようになり、人々と鉄道会社との関係が強固になっていく。その中から鉄道会社へのファンが生まれ、あるいはその鉄道会社に勤めようとする人も出てくることになるだろう。
徹底した「選ばれる沿線」戦略が、住民の転居が多い東京圏の人たちを同じ沿線に定着させる効果を持ち、末永く住民として同じ路線に住み続けてもらうようにしている。そのために「愛線心」をいかに養成するかが、各鉄道会社の経営戦略のポイントとなっている。
多くの鉄道会社でこのことには力を入れているものの、小田急の「小児IC運賃一律50円」でそのカギとなる「子育て世代」誘致合戦は、新たな展開を見せるようになっていく。ほかの私鉄も、いかに「愛される」かをより考えるようになるのではないだろうか。
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