実際にコンカー社内では、経費精算の承認レス化を進め、96%の項目で上長や経理のチェックを廃止した。まず社員と正確な経費精算を行うよう誓約書を交わす。その上で、上長はシステムが検知した不正の疑いがあるものだけをチェックする形とした。経理の承認も、一般的でない特殊な経費に限定した。
これによって、経費承認に掛かっていた時間は以前の370時間から23時間に減少。大幅な生産性のアップにつながったという。
不正を検知する仕組みは、かなり凝ったものだ。まず、ペーパーレス時代に起きがちな不正は、領収書の使い回しだ。例えば、同じ領収書の撮影画像を複数回利用して申請したり、同じ領収書を再撮影するケースもある。さらに、異なる部署間で領収書を融通しあい再利用するという不正も視野に入れている。
同じ画像が申請された場合、過去の画像データと突き合わせて申請者にアラートを出す。また、再撮影の場合でも、同じ内容が過去になかったか付き合わせて警告する。こうした形で、出来心の不正を水際でせき止める。
出張経費の不正についても、コンカー以外のシステムのデータを活用して不正を検知する。IBMは自社でもコンカーのシステムと組み合わせて承認レスを実現しており、そのノウハウを生かした。例えば、出張日の勤怠記録や入退館ログ、PC利用ログなどと突合し、カラ出張の可能性をあぶり出す。
さらに、過去の経費データを集約して分析するBIツールを使い、過剰な経費を使いすぎている部署はないかなどもチェックできるようになっている。
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