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企業の意識を「性善説」に変えていけ 経費精算クラウドトップ「コンカー」の三村社長(1/4 ページ)

» 2021年07月06日 08時50分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 コンカーは国内経費精算市場のトップ企業だ。特に大手企業への導入で強く、金額ベースのシェアでは7年連続でトップ、シェアは50%を超えている。しかし、国内の経費精算業務全体を見れば、まだ紙を使った手書き、Excelの利用などが過半を占めており、クラウドベースの経費精算システムの導入は半分にも満たない。

 一方で、出社が必要な業務の一つである経費精算は、コロナ禍でデジタル化への関心が急上昇した。ニーズの高まりを受けて、経費精算システムを提供する各社は訴求を強めている。トップ企業であるコンカーは、経費精算の未来をどう捉えているのか。三村真宗社長に聞いた。

――現在の経費精算業務の課題はどこにあるのか。

三村社長 われわれは、経費精算をなくすというビジョンを掲げている。経費精算自体は何の付加価値も生まない。人間が時間を掛ける必要はない。経費精算という仕事を意識しなくても、正しく仕事をすれば、正しく処理される。そんな世界を目指している。

 日本における最大のボトルネックは、「会社が社員をどう捉えているか」だ。日本の企業の多くは性悪説で捉えている。不正は実際に起こり得るものの、発生頻度からするとそんなに多いものではない。不正をする0.1%の人のために、99.9%の人が重いプロセスでやらなくてはならないのが実情だ。

 これを性善説に変えていくという意識改革が必要だ。「不正は誰かがやるもの。誰かが起こし得る不正を見つけるのは、会社の責任」といった発想から、「基本不正は起こらないもの」に変えていかなくてはならない。万が一、不正を起こす人が見つかったら、重い懲罰を与える。そうすれば、悪意を持っている人は思い罰を受けるが、99.9%は軽いプロセスで済むようになる。

 社員に、誓約書を書いてもらっている企業も出てきている。仮に不正を働いた場合、過去にさかのぼって返金の義務がある、そして懲罰もある。不正に対するハードルを上げて、その上で、システムを性悪説ベースから性善説ベースに変えていく。

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