現在の日本の学校で教えられているのは、Aの「知識」という領域である。そして記述式の入学試験を課す大学を目指す学生は、Bの領域のトレーニングも行う。しかし、Bの領域であっても、ベースになるのは知識のインプットである。国立教育政策研究所が2014年頃に発表した一連の報告書によると、従来の学校教育、つまり知識習得に偏重した学びのスタイルは、産業革命以降の工業化社会を効率的に維持していくためのものであるらしい。しかし、情報化・デジタル化が急速に進む現代において求められるスキルは、従来のそれとは全く異なるという。同研究所の資料をもとに、両者の比較表を作ってみたがなるほどとうなずける。
報告書の中では、これからの時代に必要な「21世紀型スキル」が紹介され、その習得にシフトするべきだと提言している。具体的には、「問題解決能力」や「コミュニケーション力」だ。実際、大学入試改革はその延長として発生してきており、また、先述したような中高におけるC領域の入試問題の登場も、その影響なのである。
この表を作成していて、私ははたと膝を打った。次世代で求められる「21世紀型スキル」とは、私が前回のコラムで書いた「仕事ができる人」が有しているスキルそのものではないか(参考記事:高学歴でも「頭がいい」とはいえない 「仕事ができない人」に欠けている要素)。知識偏重の教育を受けてきても、仕事ができる人は社会の変化に合わせて、そして仕事を通して世の中に貢献できるスキルを身につけているということなのであろう。しかし、表の左側を見るとどうだろうか。われわれがこれまで学んできたことや、机にかじりついて行った受験勉強が、何か化石時代のことのように思えてしまうほど大きな学びのパラダイムシフトが起きていることが分かる。
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