業務の正確性とスピードが求められる経理部ですが、実際にはどの会社でも経理ミスが発生しているのも事実。発生しがちなミスを取り上げ、その対処法・予防法を考えます。
経理のミスと言えば「金額を間違えた」といったものから「借方と貸方を反対にして入力した」「請求先を間違えた」といったものまで、その種類の豊富さは枚挙にいとまがありません。
ミスの内容によっては、取引先からの信用を失ってしまったり修正申告が必要になってしまったりと、その影響が小さくないものもあります。だからと言って「プロなのだから間違えないように注意せよ!」と言ったところで、日々膨大なデータや書類と格闘している経理部門では、十分に注意を払っていたつもりであってもミスが発生してしまうものです。
そのため、単に「注意しなさい!」と言うのではなく「人はミスをする」といった観点に基づいて、ミスを発生しにくくするための予防策を講じるとともに、それでも発生したミスについては、早期に発見・修正できる仕組みを構築しておくことが必要です。
では、どのようにすればミスを予防し、また、それでも発生してしまったミスを早期に発見・修正することができるのでしょうか。
それを考えるには、経理で発生する代表的なミスを知る必要がありますが、筆者の経験上、経理のミスは主に次の4つのいずれかに分類されます(図表1)。
マニュアル作業をしている際、十分に注意しているつもりであっても発生してしまうのが単純ミスです。具体的には、金額等の入力ミスや「いつもこうだから」といった思い込みや勘違い、過去のデータを変更せずにテンプレートを使い回してしまったこと等によるミスです。
業務の負荷が高かったり、複数の仕事を同時にこなしていたりする際に発生しやすいのが、業務の失念です。取引先から請求書を受け取っていたにもかかわらず「急ぎの仕事を先に終わらせてから処理しよう」と思っていたら忘れてしまった、などのミスです。
経理部門では多くの情報を扱いますが、1つの案件に複数の人が関わっている場合に発生することがあるのが情報伝達ミスです。
経理部門のメンバーが業務に必要な情報を他のメンバーと共有しなかった等の経理部門内でのミスだけではなく、現場のサービス担当者が顧客へのサービス提供の完了を経理部門に報告するのが遅れたことによる売上計上時期のズレなどのように経理部門と他部門を跨ぐミスもあります。
経理業務に必要な知識の不足によって発生するミスです。決算や税務申告の業務で発生する場合もありますが、仕訳入力の際に「消費税の課税区分を正しく理解していなかった」といったものや「所得税の源泉徴収義務を知らなかった」といったものなど、日々の業務でも発生します。
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