4月から、グループ内で損益通算等を可能とする「グループ通算制度」が適用され、作業の煩雑さが指摘されていたこれまでの「連結納税制度」は廃止されます。新たな制度のあらましと実務をおさらいします。
2022年4月以降開始する事業年度より、「連結納税制度」が「グループ通算制度」に変更となります。連結納税制度の欠点であった計算過程の複雑さ、特に税務調査後の修正申告や更正処分の事務負担が重い点が改善され、より簡素な仕組みとなるような改正となっています。
本連載では、半年間にわたりグループ通算制度について説明します。早い会社では2022年4月からグループ通算制度の適用が始まりますので、適用開始前の前半3回(1月号〜3月号)では、同制度の仕組み、単体納税制度やこれまでの連結納税制度との比較を中心に、グループ通算制度のポイントに焦点を当てて説明します。
後半3回(4月号〜6月号)では、適用開始後の具体的な事例を想定しながら、グループ通算制度を適用した後の実務について解説します。
グループ通算制度はこれまでの連結納税制度から手続きが簡素化され、細かい改正があったものの、基本的な考え方は連結納税制度から変更ありません。グループ会社全体で課税所得を計算し、法人税を課税することになります。法人住民税・法人事業税や消費税等の計算には、グループ通算制度の適用はなく、各法人が個別に計算をして、申告納税を実施します(図表1)。
グループ通算制度の対象となるのは、内国法人(普通法人または協同組合等)のみで、外国法人は制度の対象外です。ただし、例えば外国法人の子会社が内国法人の場合は、その子会社を通算グループのトップとしたグループ通算税制の適用が可能です。
また、連結親法人と連結子法人の間に完全支配(100%支配)関係が必要です。別のグループと共同で株式を保有する会社は、グループ通算制度の対象にはなりません。
このようにさまざまな条件があり煩雑に思えるグループ通算制度ですが、各企業はどのような意図で採用するのでしょうか。
グループ通算制度の採用メリットは主に4つあり、1つもしくは複数の利点を得られる場合に、適用するとよいでしょう。
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