1月14日、南太平洋にある島国のトンガで発生した大規模な噴火の噴煙は、高度20キロメートルにまで達したという。宇宙からもはっきりと見えたその噴煙によって、今後懸念されるのが“冷夏”だ。
この「冷夏」観測にいち早く反応したのが、小麦や砂糖といった先物を取り扱うコモディティ市場である。14日には742ドルであったCMEの小麦先物は、19日には795ドルと7%も急騰した。
2021年の11月には、山崎製パンをはじめとした大手パン各社が、コロナ禍による小麦生産コストや海運運賃の上昇を受け、こぞって値上げを行っていた。そんな中、22年が冷夏となってしまえば、メーカーは再度の値上げに踏み切らざるを得なくなる可能性がある。
日本で消費される小麦の約83%は米国やカナダからの輸入品に頼っている状況であるが、このような輸入小麦はメーカーが直接買い付けるのではなく、いったん政府が買い付けたうえで、政府がメーカーへ売り渡す構図となっている。
07年までは年に1回のみ、この売渡価格を変更していたが、それ以降は相場急変による実態と価格のかい離を抑えるため、半年に1回価格を改定することとなっている。直近の価格改定は21年10月に発表されたもので、輸入小麦の政府売渡価格は1トンあたり6万1820円となり、21年4月と比較して19%も上昇した。21年4月も前期比で5.5%値上がりしていたことから、この一年だけで小麦の価格は4分の1も上がったことになる。
次の価格改定は22年の4月、その次のタイミングは22年の10月だ。そのため、仮に今年が噴火の影響を受けて冷夏となった場合、小麦粉やパン、パスタといった食料品の価格は今年の秋口から冬ごろから上昇してくる可能性が高い。
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