クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

「C+pod」で考える、超小型モビリティの仕様はどこで誤ったのか?池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/5 ページ)

» 2022年01月31日 07時00分 公開
[池田直渡ITmedia]

残ったピースは電動キックボード?

 なので、すでに埋まっているパーツとして軽自動車と電動アシストサイクルを基準に置くべきだ。では他に足りないのは何だろうか? 今やリモートの時代になったとはいえ、多くの従業員が一斉に電動アシストサイクルで出社したら、あちらもこちらも駐輪場が足りない。駐輪場の整備は重要課題として解決していくべきだが、それで全てがまかなえるわけではない。

 そこを担うのは電動キックボードなのではないか? これは基本、電動アシストサイクルの下、つまり徒歩速度の領域を担うものとして、時速10キロを上限とし、その代わり、免許とナンバー取得、ウィンカーを不要にし、自転車同様、ヘルメット着用を任意にすべきだと思う。何なら速度リミッターを付けるか、時速10キロを超えると点灯するランプの装備を義務付けて、速度違反で捕まえたら罰金を取るのでも構わない。

ノルウェーのオスロー市内。自転車と電動キックボードが共存している

 電動キックボードは、車輪のサイズからいって欧州並みの時速25キロはかなり危ない。前輪がわずかな段差に当たっただけで顔から倒れる。ヘルメットを着用していようが、リスクは高いのだ。だから無理して速く走らせようとぜず、人が小走りで出せる速度までに規制した方がずっと合理的だと筆者は思う。

 この電動キックボードもまた個人所有の方がベターだろう。電動アシストサイクルに対する最大のメリットは、駐輪場が不要なことだろう。さらに、小型軽量のタイプなら、カバンなどに収納して公共交通機関で持ち運べ、駅からのラストワンマイルの移動や、乗り換えの不便な路線間の移動に使えること。会社についたら机の下に収納して充電も可能なことも加えておく。

 時速10キロで30分。つまり移動距離にして5キロ程度までならこれで行けるだろう。こういうものは放っておくと重厚長大競争に走る。電動アシストサイクルの下側を受け持つモビリティなので大容量バッテリーは要らない。速度は出さないのだし、むしろ、利便性のメリットをハッキリ打ち出すためには、何なら車両重量5キロの規制を作っても良い。5キロ以上の移動や、時速10キロ以上の速度を求める人は電動アシストサイクルに乗れば良い。適材適所は大事だ。

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