転職者の“出戻り”を歓迎する企業が、少しずつではありますが増えてきているのです。
多くの先駆的な制度を取り入れている富士通では、転職や留学を含む退職者を再雇用する「カムバック制度」を16年からスタート。大日本印刷(DNP)も19年に退職理由を問わずに再入社できる「ジョブ・リターン制度」を、20年にはキリンホールディングスが離職者の再雇用を増やす考えを明らかにし、話題になりました。
また、ディー・エヌ・エーには「独立起業・スピンアウト」という、「うちの会社を辞めて起業したいんだったら、会社として後押しします!」という出資する制度を設けています。
企業が、出戻り社員に期待する「新たな視点」です。
「組織を変えたきゃ若者、よそ者、ばか者の視点を生かせ!」と言われるように、過去の同志であり「よそ者」でもある出戻り社員に、企業のカンフル剤を期待しているのです。
少々ややこしい話ですが、「私」は「私」だけではない他者からの外的な影響を受けながらつくられます。家庭環境、職場環境などに存在する有形無形の環境要因が複雑に絡み合いながら「私」はつくられている。つまり人は環境で変わるし、環境を変えることもできる。そのプロセス自体が、成長のチャンスです。
ただ単に、環境に身を委ねていては成長につながりませんが、自分の強い意志で挑む「転職」なら、その決断が「私」を成長させる最大のチャンスになりうるわけです。
新しい環境に行くことで、それまで当たり前だと思っていたことが、決して当たり前じゃなかったとに気付き、周りに感謝する気持ちが芽生えることもある。逆に、「あれはおかしかったんだ。変えきゃダメなんだ」と意欲がかき立てられることもある。
つまり、転職をすることで、古巣の良い面が分かったり、反対に悪い面が分かったり。それまで「見えてなかった側面」が見えるようになる。
そして、新しい環境=転職先で、求められる役割をしっかりと演じ、強い意志を持って目の前の仕事に没頭し、自分を取り巻く半径3メートル世界に溶け込む努力をすれば、人間的に成長できます。
転職という手段の他にも、「環境の変化」を社員の成長につなげている企業が存在します。
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