2021年2月期におけるセブン&アイの決算は、売上高にあたる営業収益が約5兆7667億円(前年同期比13.2%減)、経常利益約3574億円(同14.5%減)だった。2桁の減収減益で、コロナ禍の影響を受け、非常に厳しいものであった。
物言う株主が改善提案をするのも、理由があってのことである。
ただし、22年2月期は、第3四半期まででV字回復を果たしている。営業収益約6兆1495億円(同43.8%増)、経常利益約2821億円(同2.1%増)となっている。
コロナ前の20年2月期における第3四半期の営業収益は約4兆9755億円(同1.9%減)だっと。そのため、今期の営業収益は期末には過去最高に到達するはずだ。一方、経常利益は約3150億円(同5.0%増)だった。
コロナ前に比べても利益が出ていない。そこに不満を持つ大株主も当然出てくる。企業価値を下げているのは何か、というわけだ。
21年2月期におけるセブン&アイのセグメント別営業収益、売上高を見てみよう。
国内コンビニ約9208億円(同5.2%減)、海外コンビニ約2兆1914億円(同20.0%減)、スーパーストア約1兆8109億円(同2.1%減)、百貨店約4252億円(同26.4%減)、金融関連約1989億円(同8.5%減)、専門店(ファミレスのデニーズなど)2638億円(同22.3%減)と、全般にどの部門も売り上げが減った。
そうした中でもコンビニは、国内・海外を合わせて、スーパーの約1.7倍、百貨店の約7.3倍の規模がある。百貨店は主力の事業から外れてきている感がある。
コンビニの売り上げが減ったのは、通勤を控えてテレワークに切り替える企業が増え、都心部のランチ需要が激減したのが大きい。コンビニに行く機会が減れば、セブン銀行を使う人も減少する。
百貨店やファミレスは、外出を自粛して家に居る時間が増えたので、こうした結果になるのも仕方ないだろう。
ところが、「近所のスーパーでのまとめ買いが増える」というコロナ禍特有の購買行動をイトーヨーカ堂が生かし切れず、売り上げが減ったのはいただけない。イオンなどと同じく、ショッピングセンター「アリオ」では密を避けるために集客イベントを実施できなかったり、時短や休業の影響を受けたりといったマイナス要因もあった。また、堅調な食品を除いて、総合スーパーの構造的な売り上げ不振が響いている。
一方で、傘下の福島県を中心に230店ほどを展開するローカル食品スーパー、ヨークベニマルは好調で、営業収益は約4776億円(同6.9%増)と健闘。そのヨークベニマルを含めても、スーパー事業は売上減になっていて、イトーヨーカ堂の再建は容易ではない。
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