3Dプリンター住宅を開発するセレンディクス(兵庫県西宮市)は3月9日、3Dプリンターで作った住宅の1棟目が完成したと発表した。施工にかかった時間は23時間12分。グランピング施設や別荘、災害復興住宅としての需要を見込む。
開発はさまざまな企業と共同で進めていて、開発コンソーシアムの参加企業は80社超。セレンディクスは設計・開発に特化し、出力3Dプリンターは海外のメーカーとの協業、住宅施工は施工会社との協業で行っている。
今回の施工は、住宅メーカーの百年住宅(静岡市)や楓工務店(奈良市)などが担当。躯体の出力は、海外のコンソーシアム参加企業である3Dプリンタメーカー2社と共同で実施した。躯体の重さは約20トンで、組み上げは3時間、防水処理や開口部などの住宅施工は23時間12分で完了した。
構造形式は鉄筋コンクリート造(RC造)。3Dプリンターを使用することで、可能な限り人の手を使わずロボットのみで作業が可能な設計とした。今後は8月をめどに「世界最先端の家 Sphere(スフィア)」として一般販売の開始を目指す。将来的には、100平米の家を300万円で提供するとしている。
3Dプリント部分はRC構造の型枠(打ち込み型枠)としても機能し、構造躯体はヨーロッパ基準の断熱性能をクリアした2重構造により設計。日本基準の耐震性能を持った構造設計は国内のエンジニア陣が担当した。今後はさらなる耐震性能強化に向けた実証も進めるとしている。
同社では、「家を24時間で創る」という開発目標を掲げているが、今回の施工でその目標を達成したことになる。今後は、さらなる施工時間短縮を目標としていて、3分の2の時間を費やした外壁の塗装などの工程を3Dプリンターで出力できる設計に変更し、仕上げ施工箇所のロボット化を検討するとしている。
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