最大3カ月待ち! 冷凍パンのサブスクが右肩上がりに伸びるワケ新たなパンの経済圏(5/6 ページ)

» 2022年03月30日 08時00分 公開
[小林香織ITmedia]

独自の「冷凍技術」は偶然生まれた

 パンフォーユーのサービスにおいて肝になるのは、パンのおいしさを維持できる冷凍技術といえる。同社の独自技術で冷凍し30日が経過したパンと常温保存で1日経過したパンを比較した調査では、冷凍パンの糊化(こか)度、水分量が常温と同等、または上回る結果に。糊化度の維持は、デンプンの老化を抑えて、もっちりふわふわした食感の維持につながるという。

冷凍パンの味は常温保存で1日経過したパンと比較して同等、あるいはよりおいしいそう

 よく「瞬間冷凍することで、おいしさを維持できる」と聞くが、パンフォーユーでは、瞬間冷凍を用いず、パンを入れる「袋」と「冷凍手順」にオリジナル性があるそうだ。

 「実は、当社の冷凍技術は偶然の産物なんです。オーダーメイドパン事業から現在のビジネスモデルに切り替えるにあたり、仕入れていた保存袋が大量に余ってしまい、それをパン屋さんに使ってもらったところ、偶然おいしく冷凍できました。現在、この冷凍技術は国際特許を出願中です」(矢野氏)

 最初にこの話を聞いたとき、やや混乱したため、説明を追加する。最初のビジネスモデルでは、パンメーカーのメインではない製造ラインを使うことになり、袋詰作業を自前でやることになったそうだ。そこで、自前で袋を購入して使っていたが、ビジネスモデルを切り替えることになり、袋の在庫を抱えてしまった。その袋を使って別のパン屋に冷凍してもらったら、たまたまおいしく冷凍できた、という流れだ。

 矢野氏に冷凍関連の深い知見があったわけでもなく、専門家と研究開発したわけでもなく、特許を出願するほどの独自技術を発見したというのは驚きだ。

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