日野自動車は3月29日、エンジンの排ガスや燃費データを偽った問題で、リコール(回収・無償修理)に伴う費用など400億円の特別損失を計上すると発表した。過去のエンジン部品の不具合に伴うリコール費用も追加で計上し、同社の2022年3月期の業績は540億円の最終赤字になる見通し。
日野自動車は中型トラック「日野レンジャー」約4万7000台のリコール費用のほか、税制優遇に対する追加の納付費用として計400億円を計上。このほかにも、21年に大型トラックのエンジン部品に見つかった不具合のリコール費用(180億円)や、20年に発覚した北米市場向けエンジンの認証不備に伴う顧客への補償費用(280億円)も計上。
このため、日野自動車は22年度の業績を当初の150億円の黒字から、540億円の赤字へと大幅に下方修正した。前年度の74億円の赤字に続き、2年連続の最終赤字となる見込み。
なお、国土交通省は同日、3月に排ガスや燃費データに不正が見つかった4種類のエンジンに対して、道路運送車両法に基づき型式指定の取り消し処分を行った。1951年の同法施行以来、取り消し処分は初めて。
日野自動車が出荷を再開するには、試験走行をやり直し、型式指定を再申請する必要がある。しかし、処分を受けた中型エンジンは劣化耐久試験に「7カ月かかる」(下義生会長)ほか、その後に国交省が審査をするため、型式指定を取り直すまでには時間がかかる。この間は出荷・販売が停止するため、来年度の業績悪化も避けられない見通しだ。
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