そうした輝かしい同ブランドの第3弾となる商品に選ばれたのが、クリームパンだ。同社のパンに関する独自の市場調査の結果、クリームパン人気が高いことが判明したためだという。
「当時、ファミマのパンの中で、クリームパンは意外と定番商品ではなかった」。担当者は当時をこう振り返る。王道中の王道ともいえるクリームパンだが、同社の商品ラインアップの中では存在感が薄い商品だったのだ。課題ともいえる商品をリニューアルし、イメージを刷新することで、パン商品全体の売り上げ強化にもつながる。「一定のニーズはあるはずだ」(担当者)として、約半年間に及ぶ開発が始まった。
担当者が目指したのは、くちどけのよいパン生地と、カスタードクリームとのハーモニーが織りなす“溶け合う”食感だ。クリームパンの生地は、他2商品とは異なり、水分を多く含む。このため、工場で安定生産が可能か、何度も試行錯誤を重ね、理想の配合にたどり着いた。担当者は「卵黄や生クリームを配合し、パネトーネ種を使用したこだわりのパン生地を、コク深くしっとりと仕立てた」としている。
メロンパンとカレーパンが築いたブランドイメージを損なわないよう、クリームにもこだわった。配分比率は非公表だが「牛乳と卵の配合にこだわったバランスの良い王道カスタードクリームに仕立てた」としている。
試行錯誤の結果、誕生したクリームパンは、シリーズ最大のヒット商品となった。好調な売れ行きについてファミマは「(こだわりの)味や食感を支持してもらえた」との受け止めを示す。一部の店舗では品薄が続いていることに関しては「お客さまにご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」と“謝罪”した上で「クリームパンといえば『ファミマ・ザ・クリームパン』と言ってもらえるよう新たな看板商品として育成していくとともに、皆さまに愛されるパン開発を今後も進めていきたい」(同社)と意気込んだ。
メロンパンにカレーパン、そしてクリームパン。ファミマが商品化した3商品はいずれもパンの中では王道中の王道といえるもので、競合も多い。だが、そうした商品だからこそ製造法にこだわり抜くことで、商品の特徴が際立ち、他社商品との違いを生み出せるのではないか。ファミマのクリームパンの好調な売れ行きは、パンの世界の奥深さを改めて示したと言えそうだ。
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