セキュリティソフトなどを開発するデジタルアーツ(東京都千代田区)は1月17日、パスワード付きZIPファイルとパスワードを同じ経路で送信する方法(いわゆるPPAP)の代替手段として利用が進むファイル共有サービスが、マルウェアの感染経路になっているとするレポートを発表した。特にゲームプレイヤー向けのチャットサービス「Discord」と、米マイクロソフトのクラウドサービス「OneDrive」を使った手法が突出しているとして、警鐘を鳴らしている。
レポートによると、マルウェアを仕込んだファイルを2サービス上にアップロード。生成されたURLからファイルをユーザーにダウンロードさせ、感染させる手法だという。セキュリティ関係者による悪性URL共有プロジェクト「URLhaus」で、感染経路をサービス別に分類・集計(2021年9月1日〜12月31日)したところ、DiscordとOneDriveが突出していた。
デジタルアーツは「Discordで確認したマルウェアの9割が、オンラインバンキングの認証情報を盗むマルウェア『Dridex』だった」と説明。「人気ドラマの続編を先取りして観られるなどといってスパムメールで誘い、添付ファイルを開かせようとする。ファイルを開いた後にマクロを有効にして実行すると、Discordに置かれたマルウェアをダウンロードしてDridex感染へと至るような仕組みだ」とし、ユーザーに警告している。
OneDrive経由の感染は「10月に一気に増加した」という。ただ、海外のリサーチャーたちがMicrosoft側の対応の遅さを批判したことで「最近になってマイクロソフト側での対処が迅速になっている。レポート執筆時点では悪性ファイルのURLが何日も生存していることは少なくなっている」と明らかにした。OneDrive経由での感染を確認したマルウェアで最多は、情報窃取型マルウェア「BazarLoader」だった。
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