2人の話を聞いていて、商品をつくるのは大変であることを改めて知った次第である。さ、これで終わりかなと思ったら、まだ難題が残っていたのである。素材のソフラスに色をつけて、3色出すことになったが、この作業が難航したのだ。
ソフラスには細かい穴がたくさんあって、水がしっかり奥まで誘導する構造になっている。「全体の90%ほどが穴になっていまして。残りの10%に色をつけることに苦労しました」(本橋さん)という。「90%が穴」となれば、スカスカのスポンジをイメージされたかもしれないが、そうではない。逆に「穴はどこにあるの?」と感じられるほど、目に見えない穴がたくさん集まって、それが形になっているといった表現が正しい。
“すった”もんだがあって、ようやく商品は完成。それでも関係者からは「2750円のタオルなんて売れないよ」「在庫をたくさん抱えるのでは」といった声もあったが、それを一蹴する出来事があった。
2022年2月に開かれた「東京インターナショナル・ギフト・ショー」で、STTAを出品したところ、想定以上に注目が集まったのだ。アイオンのブースに商社や小売店の関係者が次々とやってきて、用意していた資料は2日目の午前中になくなってしまった。
そして、冒頭の話である。2月末にECサイトで販売しところ、1週間で完売。つくっては売れて、つくっては売れての状態が続いているのだ。
使っている人の話を聞いたところ、雨が降ったとき、自転車のサドル、折り畳みの傘、レインコート、革靴などを拭いていることが多いとか。このほかに、お風呂の中で本を読むときに手を拭いたり、キャンプのときにテントなどを拭いたりする人もいるそうだ。
さて、気になるのは第二弾である。早ければ今秋に販売したいそうだが、第一弾の品薄状態が続いている状況を受けて、少し遅れるかもしれないとのこと。試作品は100個以上つくっているようなので、また消費者を驚かせるような商品がでてきそうである。
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