濡れたモノをサッと拭いて、絞るとすぐに復活する――。この話を聞くだけで、「うまく言えないけれど、なんかスゴそう」感が漂ってくるわけだが、どういった素材でできているのだろうか。アイオンが5年以上かけて開発した「ソフラス」という素材を使っていて、同社によると、吸水量は一般的な珪藻土(けいそうど)素材の約3倍、吸水速度は約6倍だという。
どんなシーンで使われているのかというと、液晶テレビやスマートフォンを製造するときに、ガラス基板を洗浄したり、吸水したりする際に使われていて、現在のシェアは50%を超えているそうだ。というわけで、ソフラスはもともと、産業用として開発された素材である。普段の生活を送っていて、ソフラスの「ソ」の字も触れることはないわけだが、そんな素材がなぜ登場することになったのだろうか。
話はちょっと変わるが、アイオンは2017年にヒット商品を開発している。同社はB2Bのビジネスを展開しているが、家庭用のアイテムを提供することはできないかと考え、吸水スポンジ「suuu(スウウ)」を販売したところ、2万5000個も売れたのだ。
全体的にユニークな形状をしていて、人気の「sizuku(シズク)」は先端がとんがっている。また、カラフルな色使いをしていることもあって、「キッチンに置けばオシャレかも」といった人が増え、人気が集まった。
B2Bを主戦場にしている会社が一般ユーザー向けの商品を出すのは難しい。ヒット商品を出すことはさらに難しいと言われているので、suuuが売れたことは「よかった、よかった」の話である。しかし、同社には大きな悩みがあった。プレスリリースにも「手作り工程が多く、生産にひじょうに時間を要する商品」と書かれているように、生産性がよくないのだ。
「オシャレな形状にしたのはよかったのですが、その形をつくるのに手間がかかってしまって。この問題を解決するために、どうすればいいのか。社内で議論した結果、“次の商品”として『STTA』の開発がスタートしました」(アイオンの本橋拓志さん)
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