リテール大革命

b8ta、“売らない店“戦国時代でどう生き残る? カギは「脱セレクトショップ」埼玉に初の郊外型店舗オープン(2/2 ページ)

» 2022年04月28日 11時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]
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「体験」を強化 脱セレクトショップ目指す

 同社の北川卓司代表取締役社長は、「b8taはこれまで『発信』のアクションをとってこなかった」と話す。「これまで積み上げてきた実績から、対企業への認知度は向上したが、一方で対消費者へのb8taの認知度の向上が急務」と課題を口にする。

 「体験型を打ち出しているものの、十分に注力できているとはいえず、セレクトショップ化してしまっている面もある」と北川氏。「これからのb8taにとって、体験の強化、ひいては脱セレクトショップを目指すことが喫緊の課題だ」と強調した。

ベータ b8ta Japan代表取締役社長 北川卓司氏

 その上で北川氏は「実証実験店舗として構えた渋谷店運営で得られたデータを越谷店の設計に生かした」と話す。“食”にフォーカスした渋谷店では、21年11月のオープンから22年3月までの5カ月間で、5000件以上の試食や試飲を実施するなど、「体験」の提供に力を入れた。

 その経験を踏まえて、今回オープンする越谷店では「より深い体験の提供」に注力していく。

ベータ ライブキッチンと調理家電

 まずは、店内にライブキッチンを常設し、出品商品である調理家電を利用できるようにした。オープン時はスタッフが調理した料理を提供するが、今後は予約すれば誰でも体験可能としている。

 家電レンタルサービスを展開するレンティオ(東京都品川区)と協業し、気に入った調理家電はその場でレンタルを申し込めるサービスも提供する。これまでb8ta店内で完結していた体験を自宅に持ち込めるようにするのが狙いだ。

ベータ レンティオが展開する家電レンタルサービス

 今回タッグを組んだレンティオの月額利用者数約8万5000人、取り扱いアイテム数は約3000種類にのぼる。

 店舗とオンラインというアプローチの仕方は異なるものの、体験を提供している共通点がある2社。ともすれば競合になりかねないはずだが、「ある商品やサービスに対する非認知層をb8taでの体験を通して認知層に引き上げ、レンティオでの体験を通して購買層に引き上げるという、互いのビジネスモデルを生かした相乗効果を期待している」(北川氏)という。

ベータ b8taとレンティオ、互いのビジネスモデルが生む相乗効果

 同一区画内にはスターバックス コーヒー越谷イオンレイクタウン KAZE1階店が店を構える。隣接するスターバックスで購入したドリンクを飲みながら、ゆっくりb8taの店内を見て回る、といった顧客流入や回遊率の上昇も期待できる。北川氏は「既存店舗の滞在時間は約20分だが、コーヒーを飲み切るまで滞在するとなると約1.5倍に増加するのではないか」と推測する。

ベータ 店内はゆったりとした設計でファミリー層にも対応

 その他、イオンモールやりそなグループとの共同イベントを企画予定で、より深い体験の提供を追求・強化していく。

ベータ 出品商品はb8taテスターが丁寧に説明
ベータ 展示される商品は、不定期で入れ替わる

 北川氏は今後の展開について、「b8taの“体験”を売るというビジネスモデルを強化し、関西や東北、ひいてはアジア各国にも展開していきたい」と話す。“売らない店” が乱立する中で、一過性のトレンドではなく、新しいカテゴリーとして定着させられるか、真価が問われる。

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