――なるほど。ただ、1万円台で販売していた商品の値下げは簡単にできないのでは? と思います。どのような点を工夫されたのでしょうか。
水谷: パジャマスーツと考えは一緒です。スーツ工場でパジャマスーツをつくっても安くは出来ません。ニット工場で製造することで価格を抑えています。それと同様に、今回のパジャマシューズはビジネスシューズの工場ではなく、スニーカーの工場で手掛けています。
今までのアイテムはビジネスシューズの工場で手掛けていたため、コストがビジネスシューズと同様の価格帯になっていました。スニーカー工場でつくることで、スニーカーと同等程度にコストを抑えられ、お客さまの求めやすい価格で提供できるようになりました。
パジャマシューズの生産でこだわったのは、「足の甲」「足首」「ヒールカップ(かかと部分)」の締め付け効果です。
ソールの硬さの処理が甘いと、かかとが動いて靴が抜けやすくなる場合があります。それをできるだけ生じさせないように、ゴムベルトの強さや幅を微調整しながら、甲と足首とヒールカップが足についてくるよう調整しました。スニーカー工場でこれを手掛けるのは難しく、結構苦労したんですよ(笑)。
水谷: ところで、靴ひもをほどかずに靴を履いたり脱いだりしたことはありませんか?
――あ、よくやってしまいます……
水谷: 特に日本人には多くて、いくらお客さまに「靴ひもをほどいて脱ぎ履きしてください」とお願いしても、ほぼ9割の方はほどかずにやってしまいます。
そこで、靴ひもを結んだまま履けるようにするため、履き口に「ネオプレーン」という、ウエットスーツの素材を別布で仕立てました。ひもを結んだまま“スポッ”と足が入るよう、柔らかく調整しています。
また、当社は50代以上のアダルトシニアのお客さまにも支持されていますので、ちょっとした段差につまずきにくくするよう、つま先が3センチほど上を向くように調整しています。ジョギングシューズなどによくある構造です。
歩行時は、足がかかとから着地して体重が移動し、つま先から抜けていきます。つま先をあげ、“くるん”とゆりかごのように動く構造にするのは、走るため、前へ前へと歩くための構造です。ウォーキングをするための“ゆりかご効果”は、人間の運動にふさわしい形状です。そのような点をスニーカーメーカーと協議しながら製作しました。
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