――パジャマシューズは、カジュアルな服装にも合わせやすいことも特徴だと思います。デザイン面でこだわった点はありますか?
水谷: これもパジャマスーツと一緒です。いくら服装の自由がうたわれても、ある程度の幅があります。ビジネスに近いデザインを好まれる方から、より部屋着に近いもの、”楽であればあるほどいい”という方もいます。そのニーズに対応するため、パジャマスーツも「襟付き」「三つボタン」「一つボタン」の3タイプをラインアップしています。
パジャマシューズも同様に、ビジネスシューズに見えるものから、よりカジュアルに見えるものまで2種類を用意しています。ただ、“ゆりかご効果”でつまずきにくい。足首とヒールカップに適度な着圧がある。スルッと履きやすい。全体として超軽量にできている。というコンセプトはどのデザインも一緒です。
――パジャマシューズは発売以降パジャマスーツの初速を超える勢いで売れているとのことですが、受け止めはいかがですか?
水谷: 正直申し上げると私はちょっと意外で、「需要はあったんだな」という思いです。今までは、お客さまがお求めになる価格を外していたのか。ニーズに合う価格で提供できれば、靴屋さんでなくても評価されるんだ。ということをあらためて勉強しました。
――今後の展望を聞かせてください。
水谷: 今の時代は「専用商品」の販売が難しくなっています。例えばファッションでも、普段着とよそ行きの服はほとんど変わりませんよね? 部屋着とパジャマも同様です。できるだけミニマルな商品で幅広い用途や場面に対応するのが今のトレンドになっています。
靴も一緒で、いざとなったら走れるものを普段から履くことが必然になると考えています。スポーツウェアの要素を取り入れつつ、お客さまがAOKIと聞いてイメージする「会社に着ていける」「人前に出ても失礼にあたらない」「きれいに縫われている」「超個性的ではない」といったニーズに対応するため、オフィシャルの場にフィットするデザインは大切にしたいと思っています。
AOKIは今、パジャマスーツの認知向上に向けた取り組みを加速させている。同社の調査によると、5人に1人が「パジャマスーツを知っている」と回答した一方、「パジャマスーツがどんなものか分からない」「仕事着として本当に着用できるのか」といった声があり、商品購入まで至っていない人も一定数存在したという。
そこで、22年春夏は、パジャマスーツの認知・理解度を深めるため、パジャマシューズや「スーツ屋が仕立てたTシャツ」といった関連アイテムを投入。今後3年をめどにカジュアル領域を現状の3倍以上に拡大し、テーラードスーツやフォーマルといったビジネス領域40%、レディース領域30%、カジュアル領域30%の売り上げ構成を目指すとしている。
ビジネスウェアの概念を変えたパジャマスーツの勢いそのままに、パジャマシューズがビジネスパーソンの足元を変える日が来るか。第2弾の発売も検討しているというが、その動きを注視していきたい。
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